アルプスアルパイン株式会社の100%子会社として、親会社のシステム管理及び運用を担うアルプス システム インテグレーション株式会社(以下、ALSIと記載)。SIerとして親会社のシステム運用だけでなく、各種システムを軸にしたソリューションを外部にも提供している。ITの進化に伴い、提供すべき価値も目まぐるしく変わりゆくのが、この業界の特性。当然、ALSIもその例外ではなかった。時代に即した顧客貢献を実現するためには、SIだけでなくAIソリューションの強化が必要。しかし、社内には知見のある人財が不足している。果たして、この窮状をいかにして突破したのか——。デジタルソリューション事業部にて、ERP等、基幹システム周りの一般顧客向けSIソリューション提供事業のマネジメントを担っている菊地さんに、SIGNATE Cloudをセレクトした理由や、導入によって実感できた効果などをお聞きした。日々お客様に対峙しているからこそ、AI対応の必要性を痛感していた—— まずは、菊地さんが現在どのような業務を担当されているのか教えてください。当社でAI研究のプロジェクトが立ち上がったのは、数年前のことです。当時から、機械学習やディープラーニングの技術革新が進み、ビジネスにおけるAI活用の機運が高まってきていました。いずれ、私たちのビジネスドメインもSIのニーズが減っていくことで、AIソリューションがメインストリームになっていくのではないか。それならば、先駆けてAIを活用したソリューション開発を進めておかなければならない。そんな危機感の下、社内プロジェクトが立ち上がり、初期メンバーとしてアサインされたのが私でした。私は社外のお客様にソリューションを販売する外販部隊を担当しているのですが、日々の業務で社外との接点が多いため、AIニーズの高まりを身近に感じており、その対応が遅れていることへの危機感をより強く覚えていました。また、こうした新しいテクノロジーやサービスは、後追いで研究開発を進めてもメリットが少ない。今から本格的に研究を進め、柱となるAIソリューションを開発することが先行者利益につながるはず。営業活動を通じて身に付けたマーケット感覚から、そう確信していました。他社にはない、日々業務で向き合う案件に即した実践的な学習内容に魅力を感じた—— そのような業務を担当される中で、DX人材育成システム「SIGNATE Cloud」を検討した背景は何だったのでしょうか?危機感の強さから、コアメンバーとしてプロジェクトも力強く推進していきたいと考えていましたが、大きな壁がありました。それは、人財不足。プロジェクトのコアメンバーは10人ほどしかおらず、全社的に見てもAIに明るい社員の絶対数が明らかに足りていませんでした。これではソリューションの開発もままならない。今後、AIソリューションを大々的に提供していくことを考えれば、全社的にAIリテラシーを高めていくことは必須。そのためにも、まずは社内教育を進めるところから始めようと考えました。そんな時に、技術研鑽のために参加した外部セミナーでSIGNATEさんのAI人財育成用のeラーニング「SIGNATE Cloud」が紹介されていたのです。内容も面白そうで、当社の課題にフィットすると感じました。特に良いと感じた点は、実際の案件に近いアルゴリズムを実際に組んでいくようなワークが織り込まれていたことです。他社の似たようなサービスも比較検討したのですが、知識を教科書に沿ってインプットするようなものばかりでした。それでは、実際の業務で使える活きた知見が身に付かないのではと不安があったのです。「SIGNATE Cloud」なら、実践的な学習ができると思い、帰社後すぐ会社に報告。上層部の反応もよく、まずはトライアルで導入してみようと決まったのが2020年9月のことでした。受講者からも有意義だったとの声が多く寄せられた—— トライアルを利用してみた感想はいかがでしたか?9月から12月にかけて、10名を対象に約3カ月トライアルを実施しました。想定通り、社員のスキルアップにつながる手応えを感じました。受講者からも・「AIに関する基礎知識はもちろん、法的な知識やビジネス化する際に課題となるポイントに至るまで汎用的に学ぶことができた」・「個々の概念として覚えていたものの関連性が整理できた」・「AI初心者だが、問題なく受講できるよう研修内容が整備されていた」など、初心者から経験者までレベルを問わず、有意義な学びが得られたとの声が多く寄せられました。こうした成果をまとめて報告したところ、会社として本格導入が決定。2021年5月から社内での受講を開始したところです。現在の運用方法は、希望者にのみ受講してもらうフローにしています。また、一部業務の関係上受講の必要性があると思われる社員にのみ、上司から直接受講をアナウンスしている形です。自己研鑽の範疇なので、業務として受講してもらう運用はどうしても難しく、各自で業務を調整しながら時間を調整する必要がありますが、興味があるとの声は徐々に増えてきている印象です。今後の課題は、受講者の拡大と修了後のフロー構築—— 今後はどのようなことに取り組んでいきたいですか?まずは受講者を拡大させたいです。興味を持つ人も増えてきてはいますが、現状での受講人数は50名程度です。会社の柱となるAIソリューションを生み出し、展開していくためにはより多くの社員が興味を持ち、受講してもらう必要があります。そのために、AI関連部署だけでなく対象を全社員にまで広げたり、社内広報でスキルアップの必要性を訴求したりと尽力しているところです。今後も社内の啓発活動や、告知施策に力を入れていきたいと考えています。また、合わせて受講後のフローも整備していく必要があります。例えば、全講座修了後にも復習しながら知識を定着させていく仕組みづくり。他にも、修了者が講師となって社内研修を実施することでの横展開や、イントラネットを活用した知見の共有知化を進めていきたいと思っています。講座を受けて終わりではなく、社内にAI知見が広く浸透し、会社の資産としてストックしていくことができる。そこまで一気通貫で提供できるような体制を、一刻も早く構築したいですね。ソリューションへの応用に関しても、これまで培ってきたSmart化の知見やノウハウとAIの双方向コミュニケーションを組み合わせることで、購買やログ、位置情報などの顧客行動を情報として収集できるシステムを開発。更なるソリューションの進化や、新たな開発においても、「SIGNATE Cloud」で学んだ社員の知見が活きてくることを期待しています。先々まで⾒据えて、全体像を設計することが大事—— ありがとうございました。最後に「SIGNATE Cloud」を検討している企業へのメッセージをお願いします。導入に至るまでにも、サービス間の比較や費用対効果の検討、受講期間や対象者など考えることは多くあります。しかし、本当に重要なのは導入した後。受講者のモチベーションをどうやって保ち、きちんと修了してもらうのか。eラーニングで得た知見を業務でどう活用してもらうのか。先々まで見据えて、全体像を設計してから導入することが大事だと思います。※掲載内容は取材当時のものです。