北陸電力グループの一員として、不動産や人材事業、介護・福祉、ネットショップの運営など多岐にわたる事業を展開し、北陸の地域社会に貢献している北電産業株式会社。新しいデジタル技術が急速に普及する中、社内でもDX推進の必要性が高まっている一方で、社員のDXに対するリテラシー不足や苦手意識が障壁になっていると感じていた。「DXを推進していくためには、まず全社員が基本的なDXリテラシーを身につけ、共通の認識を持つことが不可欠だ」という思いから、その先の専門人材の育成も視野に入れ、ステップを踏んで専門的なDX推進人材まで一貫した育成が可能なSIGNATE Cloudの導入に至ったそうだ。経営管理部 総務部門の金沢さんに「SIGNATE Cloud」を選択した理由や活用方法、導入によって実感できた効果などをお聞きした。デジタイゼーションに伴う現場のリテラシー向上が必要不可欠—— まずは簡単な自己紹介をお願いできますでしょうか?もともとは工業系の商社で営業をしていました。その後、北電産業株式会社に中途で入社いたしまして、最初は事業の一つである旅行業に6年ほど従事していました。現在は経営管理部という総務、人事労務、企画経理を担う部署に所属しており、約1年が経とうとしているところです。弊社の企業規模からすると、情報システム部のようなDXを進めていく専門の部署があってもよいのですが、DXもある種社内のインフラだという認識で、DX推進に関する業務も経営管理部で担当しています。—— SIGNATE Cloud導入以前に抱えていた課題を教えてください。世の中ではDX化と叫ばれていますが、当時は弊社の事務所では有線LANしか敷設されていなかったり、ほとんどの文書を紙媒体で管理していた状況であったため、DX推進をしていかなければならない危機感は会社全体として持っていました。今年から遅ればせながら経営管理部が主導で全社的なDX推進を掲げ、社内ネットワークの無線化を始め、ペーパーレス化に向けて始動しました。現場では、ネットショップの運営事業なども行っていることもあり、積極的にDXを推進していかなければならないという意識が高い社員もいますが、正直なところ革新していきたい一部の人材の力だけでは引っ張っていくのはなかなか難しいところがあります。社員の平均年齢が高く、DXに耳馴染みのない世代も多数在籍しているので、今まではDXという言葉自体もそれほど社員に定着していませんでした。そのような背景の中で、全従業員に対してDX教育を行う必要性が高まり、教育プログラムを探し始めました。レベル毎に充実した教育プログラムが魅力—— 実際に社員へのDX教育を始めるまで、どのように進められたのでしょうか?DX教育の方針は経営管理部が主導で進めております。経営管理部内では特定の社員だけではなく、全従業員が基本的なリテラシーを身につける必要があるという共通認識がありました。全社員に専門的なレベルまで学んでもらう必要はないけれど、基本的なリテラシーは押さえておかないと、これから様々なツールを導入することになったときにかなり抵抗を感じてしまいます。技術的にツールを使えるか使えないかは、個人の能力にもよるとは思いますが、大事なのは「なぜDX推進をするのか」といった意義や目的を全従業員がきちんと理解し、共通認識を持つことなので、DXリテラシー教育は必ずやるべきだと考えていました。—— さまざまな選択肢があるなか、SIGNATE Cloudを選んだ決め手は何でしたか?いくつかの教育プログラムを経営管理部内で選定して比較検討しました。一番大事にしていたのは、全社員にDX推進の意義やマインドセットを教育できる内容を網羅しているかということです。SIGNATEさんに決めた理由は、全社員向けの基礎教育はもちろん、次のステップとして専門的なDX推進人材を育てることができる階層化されたプログラムが用意されている点に非常に魅力を感じたからです。全社員向け教育の先を見据えたときに、基礎的な内容はA社、専門的な内容はB社、と別々の業者の教育プログラムを使って育成するよりも、ステップを踏んで基礎レベルから専門レベルまで一気通貫で育成できることが重要だと思っており、今回その点に合致したというのが大きなポイントでした。また、金融機関をはじめとした大手企業や経済産業省といった行政機関でも導入している実績があるので、安心感もありSIGNATEさんにお願いしようと決めました。全社員の進捗情報の共有が学習意欲を刺激—— 運用していくうえで、どのような点を工夫されましたか?社員が社内情報を確認できる掲示板があり、そこにDX教育をやりますという案内を流して周知を進めていきました。月に一回、時には二週に一回の頻度で、全社員のうち何名が満点を取り、どれくらい講座を修了しているか、と受講状況の進捗をこまめに掲示板で伝えました。最初は受講いただけない方もいらっしゃいましたが、みんながやっているから自分もやってみようという意識の変化があり、たくさんの方に受講していただくことができました。—— SIGNATE Cloudは業務時間内で活用していますか?基本的には業務時間内の受講を案内していますが、土日などを活用して自主的に学習を進めている方もいました。習熟度を測るテストではオープンバッジを取得できるため、満点を目指し真面目に取り組んでくれた受講者が多かったです。各所属長にも全社員向けにまずはDXリテラシー教育を実施していくと事前告知をして理解をいただいた上で進めました。そんなことやっても意味がないだろうといった反発も特になく、どの方も「必要なことだよね。」と協力的に動いていただけました。受講者の半数以上がオープンバッジを取得——SIGNATE Cloudを導入いただいた効果や感想があればお聞かせください。第一段階として今年の6月末から受講を開始し、約3ヶ月間で85%の社員が全講座受講およびテスト受検まで修了しました。最終的には受講者の半数以上がオープンバッジを取得するまでに至り、意欲のある社員も多くいることがわかりました。当初は、「DXといっても何から手を付けたら良いのかわからない」「何を勉強したら良いのかわからない」という地点からスタートした社員がほとんどだったので、基礎的な知識は身に付いたように感じます。受講後のアンケートでは、「DXという言葉が飛び交っている今の時代に、自分は無関係だろうと思って関わろうとしてこなかったけど、やっぱり向き合っていかなきゃいけないと再認識した」といった声や、「〇〇の業務をノーコードツールを使って業務を効率化したい」など具体的な施策の提案もあり、事務局として伝えたかった想いが学習を通して届いたのは大きな収穫でした。——学習が深まっていく中で、今後どのような変化や成長が期待できそうですか?今回はマインドセットに重きを置いていたので、時間をかけて真面目に取り組んでいただいた成果を実践につなげていってほしいと思います。受講後アンケートの中には、「知識は大事だけど、それを実際の業務にどうやって使ったらいいのかというところが一番大事。より実践的なスキルを身に着けるための研修にも参加したい」といった意見もありました。実業務を見据えて更なる課題や学習したいことが自発的に出てきたのは嬉しいですね。もちろん枠組みとしてどのように進めるかは事務局からも提示しますが、実際に現場で手を動かすのは各部門の担当者になりますので、その方たちが意欲的に取り組み、事務局に対してもっとこうやったらいいんじゃないかという意見が出てくるような形になればいいと思います。——次のステップとして、どのような育成を予定しているのでしょうか?各部署から数名をDX推進を担う人材として育成することを考えています。業務負担などを考え、現場の実態に即して、各部署に選定を依頼しているところです。本来であれば明確なゴールがあって、そこに向かって逆算して計画を組み立てていくのが筋だと思うのですが、一方で細かく組み立てるのも時間がかかってしまい、さらに遅れをとってしまいます。そんな危機感を全体で感じているところでして、結果的にはある程度は先のことも考えつつ、今できることを少しずつ積み重ねようと日々奮闘しています。社内のITインフラ整備で業務環境の改善も実現——DX全般に関して、社内のデジタイゼーションも進んでいるようですね。そうなんです。業務効率化システムに関してはライセンスを取得し、これができる、これはできない、というように社員に試行運用していただいています。使っていくうえで、セキュリティ上のルールなど制定しなければいけないものがあるので、まだ整備をしているところです。他には、一部ですがオフィスに無線LANがつながり、スムーズに業務ができる環境も整いました。全員がパソコンを持ち運んで作業をするというわけではないですが、快適になったという声が大きく、実施した意味があったと思っています。進捗とすると、今まさにスタートラインに立ったばかりというところです。—— ツールの導入一つを取っても使いこなすのが社員である以上、最低限のリテラシーを持ったうえで両輪で動かしていくというのは重要かもしれないですね。ツールを活用していくときに、この機能を使うためにどういう操作をしたらいいのかわからないというのは当然起こるのですが、それ以上にどの業務にこのツールを使うのが良いのかを考え、実行していく方が難しいことを感じています。ですので、やはり教育って大事なのだと改めて思いました。知識とスキルを実践活用してビジネス変革を目指す—— ありがとうございました。最後に今後の展望をお聞かせください。DX推進といっても、様々な教育プログラムを提供し、スキルを身につけ、あるいはすでに身に付いている方もいらっしゃると思いますが、知識やスキルを使って何をしていくかというところが重要だと感じています。スキルはあっても、新しいビジネスの創出や既存の業務の効率化がちゃんとできているかと問われると、なかなかそこまで繋がっていないのが実情です。今はまだ、従業員が既存の業務で手一杯の状態になっていると感じています。DXを推進していく中で、新しい事業を生み出していく方法も一つですが、どちらかといえば、既存の業務をまずは半分や三分の一の時間でできるようにしていきたいです。その中で少し余裕がある時間で新しいビジネスや、こんなことをやっていきたいと考えていくのも一つなんじゃないかという気づきがありました。最終的にはスキルを使えるのはもちろんですが、ビジネス自体を変革していける人材が一人でも出てくればいいなという想いで、これからも一歩一歩確実に進んでいけたらなと思っています。※掲載内容は取材当時のものです。