2025年6月、SIGNATEは一般社団法人日本森林技術協会様(以下、日本森林技術協会)の選抜職員約30名を対象に、生成AIワークショップ研修を実施しました。本研修は、生成AIの基礎から実業務への応用、効果的なプロンプト設計スキル習得までを目的としたものです。研修から約4ヶ月が経過し、組織内で一定の成果が上がっていると伺いました。今回は、活用推進の中心人物である金森様に、研修後の取り組みとその効果について、弊社営業担当の小林と、本プロジェクトのPMを担当した稲垣が詳しくお話を伺いました。【インタビュイー】一般社団法人日本森林技術協会 金森様(写真右)【インタビュアー】株式会社SIGNATE 稲垣(プロジェクトマネージャー / コンサルタント、写真中央)株式会社SIGNATE 小林(営業、写真左)研修を「点」で終わらせない。内製研修と効果の可視化で組織を動かす小林:本日はお忙しい中、誠にありがとうございます。6月に実施させていただいた生成AI研修から数ヶ月が経ちましたが、その後の進捗についてぜひお聞かせください。金森様:こちらこそ、本日はありがとうございます。SIGNATEさんの研修は非常に有意義で、あれをきっかけに組織的な活用が一気に進みました。早速、確かな手応えを感じています。稲垣:それは嬉しいお言葉です。今回の研修では、単に使い方を学ぶだけでなく、研修を受けた方々が推進リーダーとなって組織全体に活用を広げていただくことを一つのゴールとして設計しました。まさにその通りの展開になっているようで、私たちも大変嬉しく思います。具体的には、どのように活用を広げていかれたのでしょうか?金森様:はい。まず研修後の9月から希望者に対してChatGPTのアカウント付与を開始しました。現在、全職員122名のうち78名が利用しています。ただアカウントを配布するだけでは形骸化してしまうと考え、稲垣さん達の研修内容を参考に、私たち自身で内製研修を3回実施したんです。小林:内製研修ですか!素晴らしい取り組みですね。金森様:基本的な使い方をまとめた内容に加え、当協会では統計解析業務が多いため、より業務に特化した研修も企画しました。SIGNATEさんの研修で学んだ「実業務にどう落とし込むか」という視点が非常に役立ちましたね。実は、その研修資料作成にも生成AIを活用したんですよ。統計解析の演習用に、CSV形式のダミーデータを作ってもらったりして(笑)。導入初月で「10%超」の削減効果も。削減目標に向け順調な滑り出し。稲垣:まさに「習うより慣れろ」を実践されているわけですね。組織的に推進する上で、業務効果の測定は重要なポイントだと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか?金森様:はい、そこはこだわったポイントです。せっかくなので効果を「見える化」しようと、サイボウズ上に報告用のアプリを作成しました。利用者に「どの業務で」「どれくらいの時間」を削減できたか計上する仕組みです。小林:その結果はいかがでしたか?金森様:集計したところ、導入初月だけで、利用者78名の合計で業務全体の約2.4%もの業務削減に繋がっていました。そしてなんと、削減実績の高い上位10名の平均を見てみると約11%もの削減が出来ています。小林:導入初月で10%超え!素晴らしい成果ですね。金森様:ええ。SIGNATEと一緒に設定した今年度中の全社業務削減目標10%の達成も、一定視野に入るかなと思います。稲垣:それだけの成果をしっかり把握・可視化できているのが素晴らしいですね。小林:ちなみに弊社では、ダッシュボードで、部署別や個人別の利用時間、使われているAIサービス(ChatGPT, Geminiなど)の割合が一目でわかるサービスも展開しております。これにより、会社が許可していないAIサービスが使われていないか(シャドーAI)の検知や、逆に「活用が進んでいない部署」を特定して重点的にサポートする、といったデータドリブンな推進が可能になります。金森様:へぇ、それは興味深いですね!私たちも今、利用者間でのバラつきが少し課題なので、そういった事実ベースのデータがあると、次の打ち手が明確になりそうです。小林:話を戻しますが、287時間の削減の内訳としては、どのような業務が多いのでしょうか?金森様:はい。報告されたプロンプトもアプリ上で共有できるようにしており、メールや資料、議事録の作成といった一般業務から専門業務まで、様々な領域で活用されていることが分かっています。(SIGNATEが開発した社内の生成AI利用状況をモニタリング出来るツール。生成AIの種類や組織、個人単位での利用状況まで、ダッシュボードにより可視化。)「自分では気づけない視点」をくれるAI。GPTs化で高度な活用を標準化小林:具体的な活用事例で、特に効果的だったものはありますか?金森様:そうですね、例えば「メール文面の添削」は非常に効果的でした。一見、AIに頼むほどのことではないと思われるかもしれませんが、これが非常に重宝していまして。小林:メール添削、ですか。金森様:はい。自分では完璧だと思った文章でも、AIにレビューさせると、自分では気づかなかった、より丁寧な表現や的確な言い回しを提案してくれるんです。客観的な視点が入ることで、コミュニケーションの質が向上したと感じています。この「メールをブラッシュアップする」という活用法は汎用性が高いので、誰でも簡単に使えるようにプロンプトをGPTs化して、社内に展開しています。稲垣:個人のスキルに依存せず、GPTs化によって組織全体で高度な活用を標準化されているのは、素晴らしい運用ですね。研修がもたらした最大の成果は「自ら考える力」。AIと共にプロジェクトを推進小林:ここまでのお話で、ツールとしてAIを使いこなすだけでなく、組織的な活用推進の仕組みまで作られていることに大変感銘を受けました。職員の皆さんの意識にも変化はありましたか?金森様:まさしくその通りです。研修を経て、職員が自発的に「あれもAIに相談できるかな?」「これも効率化できるかも」と考えるようになったこと、これこそが最大の成果かもしれません。活用の道筋を自分たちで立てられるようになってきたんです。稲垣:私たちが研修で一番お伝えしたかった「AIに何ができるかを考え、業務に落とし込む力」が、しっかりと組織に根付いているのですね。金森様:ええ。実は、今後のさらなる活用推進に向けたプロジェクトを計画しているのですが、その推進計画や実行方法の骨子も、ChatGPTに壁打ちしながら作っているんですよ(笑)。小林:それはすごい!生成AIが、業務のパートナーとして完全に定着しているのですね。金森様:他にも、海外からインターン生が来た際に、日本語の資料を翻訳してもらったのですが、私が全く分からないフランス語に翻訳させても、インターン生本人から「自然で、ちゃんと意味が伝わる文章です」とお墨付きをもらいました。言語の壁を越えるような活用も生まれています。今後の展望と進化するAIへの期待小林:素晴らしい成果ですが、一方で今後の課題と感じていらっしゃる点はありますか?金森様:はい。現状、アカウントを付与された職員の多くが必要性を実感してくれていますが、まだ全職員に展開できていないことや、利用者間での活用頻度にばらつきがあるのも事実です。稲垣:議事メモにも「ものすごく活用する方とそうでない方のバラつき」とありましたね。これは多くの組織で共通する課題です。金森様:ええ。ただ、裏を返せば、一部の積極的な活用者は、この平均削減時間を遥かに超える成果を出してくれているということです。まずはこのトップランナーの成功事例を横展開することが重要だと考えています。小林:具体的には、どのような対策をお考えですか?金森様:例えば、一部の部署では職員のITリテラシーの問題もあり、活用が進んでいません。個人の努力だけに任せるのではなく、私たち事務局が「こういう業務で、こんな風に使えませんか?」と具体的な活用法を提示し、伴走支援していく必要があると考えています。稲垣:素晴らしいですね。研修を受けた方々が推進役となって、伴走支援していく体制が構築できれば、組織全体の底上げが一気に進みそうですね。金森様:はい。幸い、研修を受けたメンバーの中から、積極的にプロンプトを開発・共有してくれる推進役のような人材も出てきているので、彼らを巻き込みながら、組織全体のスキルアップを図っていきたいですね。小林:最後に、最新のAIモデルの進化については、どのように感じていますか?金森様:モデルが進化するにつれて、より「痒い所に手が届く」感覚が強まっていますね。回答の精度や速度が向上し、業務での活用範囲がさらに広がったと実感しています。今後もAIは進化し続けるでしょうから、私たちもその進化に追いつけるようスキルを高め、あらゆる業務に応用していきたいです。稲垣:研修をきっかけに、初月で業務の2.4%削減という素晴らしい成果を上げ、さらに先の課題解決まで見据えられていることに大変感銘を受けました。小林:単なるツール導入に終わらず、効果測定から内製研修、そして今後の推進計画まで、主体的に取り組まれているのが成功の要因だと強く感じます。本日は貴重なお話をありがとうございました。金森様:こちらこそ、ありがとうございました。SIGNATEさんの研修で得た「自分たちの業務にどう活かすか」という視点が、今の活動の礎になっています。これからも試行錯誤しながら、組織全体の生産性向上に繋げていきたいと思います。※掲載内容は取材当時のものです。