日本最大級の顧客基盤を背景に、膨大なデータを活用した社会課題の解決を推進する株式会社かんぽ生命保険。同社がいま注力しているのが、次世代のDXを担う「デジタル人材」の獲得と育成です。しかし、伝統ある金融機関というイメージが強い中、データサイエンスを志す学生に「かんぽ生命で働く魅力」をどう伝えるかが大きな課題となっていました。そこで同社が打ち出したのが、「データ分析コンペティション型仕事体験(以下、データ分析コンペ仕事体験)」です。SIGNATEは、コンペティションプラットフォームと精度改善ワークショップ(ハンズオン研修)をご提供し、本データ分析コンペ仕事体験をご支援しました。今回、DX戦略部の庭本さん、新矢さんの2名(以下、敬称略)に、この先進的な取り組みの舞台裏と、そこから生まれた成果についてお聞きしました。(写真左から、庭本さん、新矢さん)「生命保険でデータ分析?」というギャップを埋めるために―― まず、データ分析コンペを仕事体験に導入した背景を教えてください。庭本:弊社には膨大なデータがあり、それを活用して新しい価値を創出するフィールドが広がっています。しかし、学生の皆さんからすると「かんぽ生命とデータ分析」が結びつきにくいのが実状でした。単なる座学や簡単なワークショップでは、私たちが日々向き合っている仕事の「本当の面白さ」や「難しさ」を伝えきれないというもどかしさがあったんです。そこでデータ分析に強い興味を持つ方を対象に、コンペ型でデータ分析スキルの向上をうたった仕事体験を実施するに至りました。新矢: 私自身、仕事体験を経て、デジタル採用の3期生として入社しました。その当時はまだSIGNATEさんにご支援いただく前で、分析コンペではなく、別のデジタル技術活用をテーマとした仕事体験でしたが、仕事体験自体は入社を後押しする良い機会だったと感じています。――従来の仕事体験では、どのような点に課題を感じていたのでしょうか?庭本:以前はグループワーク形式が中心で、参加学生によってデータ分析スキルの差が大きく、未経験の学生が置いてけぼりになってしまうリスクも抱えていました。ですので、初心者でも無理なく参加できて学べる仕事体験のプログラムにできないかと考えていました。新矢:仕事体験は、参加する学生に企業と業務の実態を知っていただくうえで非常に重要な機会です。ですので我々は、分析業務に興味を持つ学生に対して、より具体的で実務に近いイメージを持ってもらえるテーマ設定、課題設計、そして実践の場にしていくことが必要だと考えていました。新たな可能性を広げたSIGNATEのハンズオン研修とコンペティションプラットフォームのチカラ―― その課題を解決するために、SIGNATEのサービスをどのように活用されたのですか?庭本:そんな中で、SIGNATEさんは我々の思いを汲んでくださり「講義という形で学びながらデータ分析を実践できる」という支援施策をご提案くださり、導入を決めました。具体的には約1か月半の仕事体験期間中にデータ分析コンペを運営するために、SIGNATEさんには大きく2つの役割を担っていただきました。1つ目は参加学生がデータ分析精度を競い合う「コンペティションプラットフォーム」のご用意、2つ目が実践経験のない方でもデータ分析モデルの予測精度を上げるコツが学べる「精度改善ワークショップ(ハンズオン研修)」の実施です。データ分析に馴染みのある方にとっては、SIGNATEさんのコンペティションプラットフォームはもっとも有名で評判も良かったので、その点は期待どおりでしたね。―― 弊社は、国内最大級のコンペティションプラットフォームを持ち、豊富な運用実績もありますので、その点を評価いただいていることは大変光栄です!一方で実際に弊社講師によるハンズオン研修はいかがでしたでしょうか?庭本:お世辞抜きに、期待のハードルを上回る内容でした。「分析のプロ」であるSIGNATEの講師の方からデータ分析の基礎知識~モデル構築まで丁寧に解説いただけた点はもちろんなのですが、100名以上の参加学生へどうやったら予測精度を上げられるか?などを、個々にしっかりフィードバックしてくださった点は、我々もそうですが参加学生にとっても期待以上だったと思います。―― ありがとうございます!例年の課題でもある「参加学生の離脱率」を改善するために、御社側の参加学生への手厚いサポートも心強かったです!新矢:はい、弊社側でも期間中、「学習、分析、発表、フィードバック」という実際の業務の流れを取り入れながら、習得した分析スキルと業務の流れを実際に体験していただけるように工夫しました。また、実務での分析活用事例を紹介することで、保険業界の分析業務に対する具体的な理解を深め、単なるコンペ参加以上の価値を感じてもらうことで、参加学生のモチベーションの維持に努めました。―― 学生の皆さんの反応はいかがでしたか?庭本:「業務への理解」「スキル向上」いずれの観点でも非常に良い反応でした。アンケートの結果を見ると、約9割の学生が「業務内容を具体的にイメージできた」と回答してくれました。また、データ分析の実践経験のない学生(全体の7割)の約85%が「仮説立案や解法テクニックを学び、自身の分析に活かせるイメージが持てた」とのことで、単なる「仕事体験」の場ではなく、学生にとってもスキル向上を通して「成長できる場」として活用してもらえたと考えています。また、初めてデータ分析コンペに参加した人が講師に質問する意欲的な姿も見ることができて、当初思っていた以上に「挑戦しよう」という学生の気持ちを引き出せたことは、いい意味で驚きました。庭本:データ分析のプロであるSIGNATEさんにご支援をいただいたことで、「生命保険業界への関心は薄いけれど、データ分析には興味のある学生」がこの仕事体験に集まってきてくれました。そのような学生に、弊社の会社説明や生命保険会社のデータ分析の話を聞いてもらえたことで「自分の専攻や興味に関連がある業界なんだ」って気づいてもらえたことは、予想していなかったプラスポイントでしたね。実務と仕事体験を分断させない。一気通貫のDX戦略―― 今回の取り組みを通じて、組織として得られた最大の成果は何でしょうか。今後の展望も踏まえ、教えてください。庭本:何より、この仕事体験の取り組みによって、実務に即した仕事体験が提供できていることです。仕事体験の応募者が多いことは社内からも高く評価されており、「どうやって学生の興味を引いているの?」と、この取り組みに興味を持ってもらえています。また、参加した学生からも高い満足度が得られています。我々としてもこの取り組みを「良かったね」で終わらせずに要因分析を進め、社内の別のプロジェクトにも横展開していきたいと考えています。新矢:今の仕事体験自体は、実務に近いテーマ設定でよりリアルに、より双方向のコミュニケーションが実現できる運営体制にブラッシュアップしていきながら継続していく予定です。さらに、ここで得られた知見を活かして、社内向けのデータ分析コンペも新たに動き出しています。幅広い階層の社員に参加していただくことで、組織全体のデータ活用能力を高め、より効果的なデータドリブン経営の実現を目指していきます!――今回、DX戦略部の御二方へのインタビューを通して「かんぽ生命をデータドリブンな組織へと導いていくんだ」という強い意思が伝わってきました。データ分析コンペをきっかけに、組織全体にどんどんDXが浸透していき、より一層「データ活用の文化」が醸成されていきそうな予感がしました。庭本さん、新矢さん、インタビューのご協力、誠にありがとうございました!※掲載内容は取材当時のものです。