「お口の恋人」のキャッチフレーズで知られる株式会社ロッテは、チョコレートやビスケット、アイスクリームなどの製造・販売を手がける総合菓子メーカーとして、長年にわたり多くのロングセラー商品を世に送り出してきました。近年、消費者ニーズや購買行動の変化が激しさを増す中で、食品業界においても市場やトレンドの変化を繰り返し探るための「データ活用」が欠かせないものとなっています。特に、小売業からメーカーへのデータ開示が増える中で、メーカー側にも「データを読み解く力」がこれまで以上に強く求められるようになりました。こうした流れは、単なる自社商品の提案にとどまらず、データを活用し、そこから導き出した示唆をもとに提案できる営業スタイルへの進化が期待されています。今回、営業本部・営業戦略部・データサイエンス課の田山さん、倉内さん、嘉代さんの3名にSIGNATE Cloudを選択した理由や、導入によって実感できた効果などをお聞きしました。(写真左から、田山さん、倉内さん、嘉代さん)個々のスキルの差が大きく、教育のスタートライン作りに悩んでいた―― SIGNATE Cloud導入前に抱えていた課題を教えてください。田山:私たちが所属する営業戦略部・データサイエンス課は、営業現場の視点に立ったデータ活用の推進を担っています。日々の業務では、お客様である小売業者から提供されるPOSデータやID-POSなどの購買データ、社内の出荷実績、市場データなどを扱いやすい形に集計・分析し、営業社員が現場で有効活用できるような情報発信や仕組みづくりに取り組んでいます。このようにデータを扱う機会は多くありますが、私たち自身、もともとは営業出身で、データ分析に関する知識・スキルが十分にあったわけではありません。そのため、部署内でもスキルレベルに差があり、新しくメンバーが加わった際に、全員が一定レベル以上のスキルを持てるような体制や教育プログラムが整っていないことに課題を感じていました。嘉代:そもそも自分がどれくらいスキルがあるのかも分からず、現在地を認識できていなかったというのが正直なところです。この部署に配属されて初めて「私はできない側なんだ」と気づいたくらいで、どんなスキルが必要なのかも明確に理解できていませんでした。倉内:自分のスキルを客観的に測る機会もなかった、というのが大きかったですね。だからこそ、チーム内で足並みを揃えるためにも、共通の基準や型を持つことが重要だと感じていました。――営業現場でも、データ活用に関する課題感やお困り事などはありましたか?田山:営業現場においても同様の課題がありました。たとえば、社内には各種ITツールの使い方に関するマニュアル動画などはあるのですが、それらはあくまで特定の業務に特化したものが多く、一般的なデータリテラシーや汎用的な分析スキルに関する教育はほとんど整備されていませんでした。私自身、若手社員向けの集合研修でExcelの使い方を教える機会があったのですが、受講者によってスキルに大きなばらつきがあり、研修内容や伝え方に非常に苦労しました。初心者に合わせると経験者には物足りず、逆に高度な内容にすると初心者がついていけない。そうした“スキルの差”への対応の難しさは常に感じていました。嘉代:最近では、小売業側もメーカーに積極的にデータを開示する動きが進んでいて、それに応じた提案を求められる場面が明らかに増えています。ただ、スキルが追いついていないと、データを受け取っても加工や抽出ができず、どのような傾向や特徴があるのかもわからない。得意先への提案に活かすことができず、「どうすればいいのか分からない」と悩んでいる社員も見かけました。また、スキルを持つ一部の社員に業務負荷が偏ってしまい、データを扱えないことで大事な得意先の担当を任せられない、という状況にもなりかねないと感じています。営業としても「データを活用できる力」がますます求められるようになっているため、現場でもその必要性を肌で感じている人が確実に増えてきていると思います。スキルの可視化と“楽しさ”が導入の決め手に―― さまざまな選択肢があるなか、最終的にSIGNATE Cloudを選んだ決め手は何でしたか?田山:当時、いくつかの教育サービスを比較検討するにあたって意識していたのは、「現状のスキルの可視化ができること」と、「学ぶ人のスキルレベルや習熟度に応じて柔軟にカスタマイズできること」でした。というのも、私たちの部署や営業現場では、データに関するスキルのばらつきが非常に大きく、全員に一律の教材や研修プログラムを実施するだけでは、個々人にとって適切な学びにはならないと感じていたからです。初心者がつまずかずに入っていけて、かつ経験者も物足りなさを感じない。そんな構成であることが大切でした。その点、SIGNATE Cloudは、アセスメントテストによってスキルを“見える化”でき、個々に合った学習のスタート地点を設定できる点が非常に魅力的でした。テスト結果から1人1人にあわせた「弱点克服講座」が自動でレコメンドされる為、自分の弱みから順に効率的に学習が可能。コンテンツの内容も一方通行の動画視聴だけではなく、PC上でExcel等を利用しながら手を動かして学べる講座が豊富にあるのも魅力です。講座を進めるごとに経験値やレベルが上がるゲーミフィケーション的な仕掛けがあって、学ぶ体験そのものが楽しそうだという印象を受けました。モチベーションの維持というのは、特に自主学習においては重要な要素ですが、その点でもSIGNATE Cloudは工夫がなされていて、「これなら自然と学びが続けられそうだ」と期待を持てたことも、導入の決め手のひとつでした。現場で使える学びが、組織の基礎力を底上げした―― 実際に導入してみての変化や効果、感想があればお聞かせください。田山:受講メンバーの中には、もともとデータに慣れている人もいれば、苦手意識がある人もいたのですが、結果的に全員が一定のベーススキルまで引き上がるような成果が得られました。特に、データ活用にまだ自信がなかった方にとっても、着実にレベルアップできる構成だったので、底上げの観点では非常に効果的だったと思います。全国の営業職・企画職を対象にExcelの基礎スキルを学ぶコースを展開した際は、参加は任意でしたが想定よりも多くの応募があり、途中で枠を拡大するほどの反響でした。新入社員をはじめとする若手から支店長クラスまで、幅広い年代や役職の方々に参加いただいたのも印象的でしたね。最初はアセスメントテストの点数が300点だった方が、最終的に900点程までスコアを伸ばした例もあり、そういった方々は「苦手意識がなくなった」と高い満足度を示していました。―― 実務への活用について、現場からはどのような反応がありましたか?倉内:データ活用スキルの基礎コースを利用した方からは、「学んだ内容を次の日からすぐ業務に活かせる」と好評でした。受講後アンケートでも「知らなかった関数を覚えてExcelの作業効率が上がった」「資料作成の時間が短縮された」といった声が多く、内勤の負荷軽減にもつながっている印象です。基礎を固めることで、業務全体のベーススキルが上がり、それが業務効率化や成果向上につながる。そんな学習と実践の良い循環が少しずつ現場で生まれてきたように思います。嘉代:役職が高い方にとっては研修の機会自体が貴重で、今回のような機会があったことに対して「ありがたい」という声も多かったです。また、自分の進捗が点数として見えることでモチベーションにつながったという意見もありました。これまでなかなか点数化して評価することが難しかったのですが、今回の取り組みではそれが可能になり、学習の成果を明確に実感できた点でも非常に良かったと感じています。―― 今回の取り組みを通じて、今後の育成で意識したいポイントや気づきはありましたか?田山:データ処理が得意な人からは、アセスメントのスコアが上がった後にネクストステップの学習に進みたいといった要望もありました。今後は、そういった人たちにも刺激となるような学習テーマやカリキュラム設計を別途検討していく必要があると感じています。例えばExcelで基礎的なデータ分析方法を習得したことで、次はPythonなどのプログラミングに関連する内容に挑戦してみたいという意欲的な声も上がっています。段階的にステップアップできる育成の道筋を描いていけたらと思います。実際の業務の中で活用しながら学びを定着させていくためには、日常業務に組み込みやすい形での学習時間の確保や、自己研鑽を促進するための工夫、研修を実施するタイミングの見直しなど、社内的な運用面でも調整が必要だと感じています。特に外勤が多い営業社員にとっては、「やりたいけど時間がない」と感じるケースも多いため、無理なく続けられる環境づくりが今後の鍵になると考えています。「データに強いロッテ営業」を目指して―― 今後の人材育成について、展望があれば教えてください。田山:今後は、営業組織全体でさらに底上げを図っていくとともに、「データ活用ができる営業」を「ロッテ営業の当たり前」にしていきたいです。特に、新入社員の段階から基礎的なスキルを身につけておくことで、早い段階から実務においても活かしやすくなりますし、得意先である小売業様との商談でも、より深い提案ができるようになると考えています。将来的には「データに強いロッテ営業」という印象を社外にも持ってもらえるような状態が理想ですね。また、若手だけでなく、管理職層や経営層に対しても、データ活用の意義や全社としての方向性を理解いただくための機会づくりも重要だと感じています。必要に応じて職層に応じたアプローチを検討していきたいです。実務に活かせる“とっつきやすさ”が魅力―― 最後に、SIGNATE Cloudの導入を検討している企業様へメッセージをお願いします。嘉代:私自身、社内で誰よりもSIGNATE Cloudに取り組んだという自負があります(笑)実際に受講した立場から見ても、本当に「初めてでも取りかかりやすい」設計になっていると感じました。特に「何から手をつけたらいいか分からない」と悩む方には、ぜひおすすめしたいです。講座の内容も非常に勉強になりましたし、スコアで成長を“見える化”できることで、「自分にもできるかも!」という自信につながりました。田山:私も個人的に他社のオンライン学習動画を活用することがありますが、どうしても“その場限り”で終わってしまい、体系立てて学び続けるのが難しいと感じることが多いです。その点、SIGNATE Cloudは、組織全体で足並みを揃えながら取り組めるように設計されていて、学習を続けたくなる仕掛けが随所にあります。これまで他の動画視聴型のeラーニングサービスで挫折した経験がある企業にこそ、ぜひ試していただきたいですね。でもロッテの競合以外でお願いします(笑)倉内:今回は営業職向けに展開しましたが、SIGNATE Cloudで学べるスキルは、マーケ、研究開発、バックオフィス等、業種や業界を問わずどこでも活かせる汎用スキルだと思っています。どの職種、どの現場でも腐らないスキルとして、社員がその価値に気づいた瞬間、自然とモチベーションが上がっていくのを感じました。その上で、私たちが実感したように小売業様とのやり取りが多い営業職や、データの集計・抽出・分析に関わる業務を担う製造業の方々にとっては、実務との親和性も高く、特に導入効果を実感しやすいのではないかと思います。――今回御三方へのインタビューを通じて、「ロッテの営業部隊をデータドリブンな組織へと導いていくんだ」という強い意思が伝わってきました。今後はこのような動きがロッテ様グループ内でもどんどん波及していき、営業本部起点でより一層「データ活用の文化」が醸成されていきそうな予感です。田山さん、倉内さん、嘉代さん、今後も旗振り役として引き続きよろしくお願いいたします!インタビューのご協力、誠にありがとうございました!※掲載内容は取材当時のものです。