今の時代、ビジネスを成功させるためには、DXの推進が欠かせないものとなっています。多くの企業がDXを推進しようとしている中で、自分もDXに関する資格を取得してスキルアップをしたいと思う人も多いです。こうした中で多くの企業やビジネスマンから注目を集めている資格の一つに、「デジタルトランスフォーメーション検定」があります。この記事では、デジタルトランスフォーメーション検定の基本情報から試験の内容まで幅広くご紹介します。デジタルトランスフォーメーション検定を構成する3つの試験について分かりやすく解説していますので、DX関連の資格取得を考えている方はぜひ参考にしてください。デジタルトランスフォーメーション検定とは?デジタルトランスフォーメーション検定とは、一般財団法人 全日本情報学習振興協会により運営・実施されている資格試験のことです。DXを推進する部門・部署の責任者・エンジニアや、DX推進を生業にした事業を展開する方々・団体などをターゲットとしています。デジタルトランスフォーメーション検定に合格すると、合格証と認定カードが交付されます。認定カードの有効期限は2年間ですが、有効期限後は所定の手続きにより更新することが可能です(有料)。認定カードを交付されたら、ロゴマークを協会のWebサイトよりダウンロードして利用できるようになります。ロゴマークは名刺などへ掲載でき、個人としてはスキルのアピールに、企業としてはDX人材育成のきっかけとして活用することが可能です。デジタルトランスフォーメーション検定は、以下の3つで構成されています。DXパスポート試験DX推進アドバイザー認定試験DXオフィサー認定試験ここからは、それぞれの試験の概要を順番に解説します。DXパスポートDXパスポート試験は、DXの基礎について学ぶ試験です。以下の2つの内容を問う課題から成り立っています。DXの定義や現状、金融・小売・製造の分野におけるDXの進行度合いに関してDXに欠かせないAI・ビッグデータ・IoT・クラウドといった基礎知識に関して本試験の運営・実施者は、DXパスポート試験を特に受験してほしい対象者として「初級者(DXについて、これから学ばれる方)」を想定しており、具体的には以下のような方々を挙げています。DX担当者を目指す一般社員各業務のリーダーを目指す一般社員一般管理職文系学生業種・業界としては、以下のような方々を主な受験対象として想定しています(もちろん、以下の業種・業界に携わっていない人も受験可能です)。ITサービス・ITコンサルティング情報・通信自動車・機械金融人材・サービス流通小売り医療メディア・エンターテイメントDXパスポート試験への受験を通じて基礎知識を身につけた後、さらに深く学びたい場合には、「DX推進アドバイザー認定試験」にて中級知識を、「DXオフィサー認定試験」にて上級知識を学んでいくというのが、検定の運営・実施者が推奨している流れです。DX推進アドバイザーDX推進アドバイザー認定試験は、以下に列挙した3つの知識を身に付けて、DXを推進しようとする企業・担当者・プロデューサーなどとDXの実現に向けて議論を行ったり、これらにアドバイスを提供したりする人材の養成を目指している検定試験です。DXの現状企業やビジネスを変えるためのさまざまなデジタル技術トランスフォーメーションを推進するために必要な人材と方法論デジタルを使って変革し、圧倒的な競争力を身に付けるためのDXを推進するには、デジタルに強い専門家と、トランスフォーメーション(変容)を推進していく人材が必要となります。ただし、DXに関心を持つすべての人にこれを求めるのは現状では不可能なので、まずはDX推進アドバイザー認定試験を通じて、上記に列挙した3つについて学ぶことが大切であると考えられています。本試験の運営・実施者は、DX推進アドバイザー認定試験を特に受験してほしい対象者として「中級者(DX推進の実務者を目指す方)」を想定しており、具体的には以下のような方々を挙げています。DX担当者各業務のリーダー一般管理職理系学生業種・業界としては、DXパスポート試験で前述したような方々を主な受験対象として想定しています。DXオフィサーDXオフィサー認定試験では、DXの責任者や責任者をサポートする人材をメインターゲットに設定しています。企業がDXの実現を目指すためには、プロデューサーやプロジェクトマネージャー、プロダクトマネージャーといった責任者のポジションに立つ人材が必要不可欠です。実際に、DX推進に向けて、DXの最高責任者としてCDO(チーフデジタル責任者)やCDXO(チーフデジタルトランスフォーメーション責任者)を配置する企業も増加している状況です。そこで、DXオフィサー認定試験では、DX推進アドバイザー認定試験で問われる知識を身に付けたうえで、企業のマネージャーやオフィサーとして活躍できる人材や、それをサポートできる人材の養成が目指されています。本試験の運営・実施者は、DXオフィサー認定試験を特に受験してほしい対象者として「上級者(DX関連部門の管理職を目指す方)」を想定しており、具体的には以下のような方々を挙げています。上級管理職IT関連業務担当者右記の職種を目指す方:プロダクトマネージャー、ビジネスデザイナー、エンジニア・プログラマー、UX・UIデザイナー業種・業界としては、DXパスポート試験やDX推進アドバイザー認定試験と同様の方々を主な受験対象として想定しています。デジタルトランスフォーメーション検定の概要と試験内容本章では、デジタルトランスフォーメーション検定における各試験の要項と試験内容について順番に説明します。DXパスポートの要項と試験内容下表に、DXパスポート試験の概要をまとめました。受験を申し込む前に、しっかりとチェックしておきましょう。制限時間計60分(第1課題、第2課題を合わせて)問題数計60問(第1課題、第2課題を合わせて)※変更になる場合あり合格点正答率70%以上※問題の難易度により、それ未満でも合格とする場合あり受験料9,350円(税込)受験資格国籍、年齢を問わず制限なし合格発表試験の約1ヶ月後に公式HP上で発表そのほかの試験内容に関する詳細や最新の情報は、公式HPでご確認ください。参考:【デジタル トランスフォーメーション検定】DXパスポート試験(基礎レベル)DX推進アドバイザーの要項と試験内容下表に、DX推進アドバイザー認定試験の概要をまとめました。受験を申し込む前に、しっかりとチェックしておきましょう。制限時間計90分(課題1、課題2、課題3を合わせて)問題数計100問(課題1ー40問、課題2ー50問、課題3ー10問)合格点正答率70%以上※問題の難易度により、それ未満でも合格とする場合あり受験料11,000円(税込)受験資格国籍、年齢を問わず制限なし合格発表試験の約1ヶ月後に公式HP上で発表そのほかの試験内容に関する詳細や最新の情報は、公式HPでご確認ください。参考:【デジタル トランスフォーメーション検定】DX推進アドバイザー認定試験DXオフィサーの要項と試験内容下表に、DXオフィサー認定試験の概要をまとめました。受験を申し込む前に、しっかりとチェックしておきましょう。制限時間計120分(課題1、課題2、課題3を合わせて)問題数計100問(課題1ー30問、課題2ー50問、課題3ー20問)合格点正答率70%以上※問題の難易度により、それ未満でも合格とする場合あり受験料13,200円(税込)受験資格国籍、年齢を問わず制限なし合格発表試験の約1ヶ月後に公式HP上で発表そのほかの試験内容に関する詳細や最新の情報は、公式HPでご確認ください。参考:【デジタル トランスフォーメーション検定】DXオフィサー認定試験DXパスポート、DX推進アドバイザー、DXオフィサーの試験日DXパスポート試験の試験日は、直近開催分で以下のとおりです。第9回:2024年7月14日(日)第10回:2024年10月20日(日)第11回:2025年2月2日(日)2024年7月現在、第10回試験の受験申し込みが行われています(締切日は9月12日)。次に、DX推進アドバイザー認定試験の試験日は、直近開催分で以下のとおりです。第13回:2024年9月29日(日)第14回:2024年12月15日(日)第15回:2025年3月16日(日)2024年7月現在、第13回試験の受験申し込みが行われています(締切日は8月22日)。最後に、DXオフィサー認定試験の試験日は、直近開催分で以下のとおりです。第7回:2024年7月14日(日)第8回:2024年10月20日(日)第9回:2025年2月2日(日)2024年7月現在、第8回試験の受験申し込みが行われています(締切日は9月12日)。デジタルトランスフォーメーション検定の受験方法デジタルトランスフォーメーション検定の受験方法は、3つの試験いずれも同じです。以下3つの方法から選んで受験することになります。受験方法補足公開会場で受験する・開催日までに郵送される「受験票」と「提出用の写真1枚」を持参する必要がある。・マークシート形式の試験なので、鉛筆および消しゴムの持参が必要となる。・遅刻や受験票、写真を忘れると受験できない。オンラインで受験する・360度全周Webカメラとパソコンが必要となる(レンタルでの利用は可能)。・「オンライン・ライブ受験システム」を稼働し、Webカメラにより受験時の画像を協会サーバーに20から30秒に1回送信する監督システムで受験する仕組みが取られる。・試験中離席した場合や、試験システムの操作以外の作業を行った場合は失格となる。CBT会場で受験する・全国にあるテストセンター約50校で受験する方式。・自分で会場を選択・予約する。なお、公開会場の場所は3つの試験で異なっているので、受験を申し込む前に確認しておきましょう。なお、企業のDX推進に寄与する資格試験は、デジタルトランスフォーメーション検定以外にも様々なものがあります。以下の記事では、DX推進にあたって取得をおすすめする14の資格をまとめていますので、併せてご覧ください。DX資格14選!DX推進に役立つおすすめ資格を紹介デジタルトランスフォーメーション検定の過去問DXパスポートの過去問は公開されていません。掲載されているサンプル問題の一つは以下のとおりです。問DXに関する記述として適切なものを以下のア・イのうち1つ選びなさい。選択肢ア.DXという概念は、スイスの国際経営開発研究所(IMD)のマイケル・ウェイド教授らによって、2010年代に初めて提唱された。イ. 経済産業省は、DX推進ガイドラインにおいて、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とDXを定義している。正解イまた、DX推進アドバイザー認定試験の過去問も公開されていません。以下に、掲載されているサンプル問題の一つをまとめました。問デジタルディスラプターに関する記述として適切なものを以下のア・イのうち1つ選びなさい。選択肢ア.デジタルディスラプターとは、クラウドやビッグデータ、IoT、AIなどのデジタルテクノロジーを活用することにより、新しいビジネスモデルを実現し、既存の業界の秩序やビジネスモデルにプラスの影響をもたらすベンチャー企業等のことである。イ.デジタルディスラプターの代表的な企業として、GAFAと呼ばれる、「Google」「Amazon」「Facebook」「Apple」がある。正解イ続いて、DXオフィサー認定試験の過去問も公開されていません。以下に、掲載されているサンプル問題の一つを提示します。問DXに関する以下のアからエまでの記述のうち、最も適切ではないものを1つ選びなさい。選択肢ア.DXは、デジタル技術の活用による新たな商品・サービスの提供、新たなビジネスモデルの開発を通して、社会制度や組織文化なども変革していくような取組を指す概念である。イ.DXを実現していく上では、デジタル技術を活用してビジネスをどのように変革するかについての経営戦略や経営者による強いコミットメント、それを実行する上でのマインドセットの変革を含めた企業組織内の仕組みや体制の構築等が不可欠である。ウ.DXを展開していく上では、既存のITシステムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化する中においてデータを十分に活用しきれず、新しいデジタル技術を導入したとしても、データの利活用・連携が限定的であるため、その効果も限定的となってしまうという問題が指摘されている。エ.世界規模でのデジタル化が加速する中、デジタル化の進展により変化する社会・経済に合わせて、自身の組織やビジネスモデルを変革し、レガシーシステムと呼ばれる新たな価値の創出を活用することによって、競争上の優位性を確立させるDXの実行が、これまで以上に求められている。正解エ公式HPには上記以外にもサンプル問題が掲載されているので、各試験の受験前に確認しておきましょう。参考:DXパスポート試験 サンプル問題 DX推進アドバイザー認定試験 サンプル問題 DXオフィサー認定試験 サンプル問題DXパスポート、DX推進アドバイザー、DXオフィサーの勉強方法デジタルトランスフォーメーション検定では、まずDXの現状や技術、今後の展開などに関するDX全体の知識を捉えることを重視しており、それがDX学習の基礎になると考えられています。そのため、DXの全体像が記述されている書籍を読むことが推奨されています。その中でもDX推進アドバイザーやDXオフィサーとなるためには、単なる知識のみでなく、自ら行動して組織を変革していかなければなりません。そのため、できるだけ多くのDX関連書籍を読むことが推奨されています。前述のとおり、デジタルトランスフォーメーション検定の過去問は公開されておらず、難易度についても合格点が「正答率70%以上」という説明があるのみで不明です。しかし、DX推進アドバイザー認定試験については、模擬試験を受けられる「DX推進アドバイザー対策講座」が用意されています。この講座は、特任講師による約20時間のビデオ講座と模擬試験各1回分が含まれており、過去問題対策を通して実践力を付けられるものです。試験対策の一環として、利用を検討してみるのも良いでしょう。そのほか、DXの全体像を掴むための方法として、DX教育サービスの活用も効果的です。例えば、実践的な学びによってDX推進人材の育成・発掘を行うサービスとして『SIGNATE Cloud』が挙げられます。『SIGNATE Cloud』は、全社的なDXリテラシーの底上げから、DX推進人材の発掘・育成、AI実装に至るまで、貴社のデジタル変革を包括的に支援するDX教育サービスです。プログラミングの基礎から業務に直結する実践的なスキルの習得まで、幅広い視点から貴社のDX推進をサポートします。「どのようにしてDXを推進すれば良いか分からない」「実務につながるDX教育を実施したい」というお悩みがあれば、ぜひ『SIGNATE Cloud』の導入を検討してみてはいかがでしょうか。お問い合わせはこちら参考:DX推進アドバイザー対策講座まとめデジタルトランスフォーメーション検定とは、DX推進に欠かせない人材を認定する資格試験のことです。DXパスポート試験とDXオフィサー認定試験、DX推進アドバイザー認定試験の3つで構成されています。現在DX推進に携わる仕事を担当している人や、今後DX推進に携わりたいという人は、デジタルトランスフォーメーション検定の取得を目指して学習に取り組んでみてはいかがでしょうか。