2024年1月31日、デジタルリテラシー協議会は、デジタル分野で働く人々の育成を加速化すべく、新たに「DX推進パスポート」の発行を始めることを発表しました。2024年2月9日より、協議会のWebサイト上で受付が開始されています。同協議会は「IT・ソフトウェア領域」「数理・データサイエンス領域」「AI・ディープラーニング領域」の3領域において、全てのビジネスパーソンが備えるべき共通リテラシーを「Di-Lite」として定義しています。このたび、「ITパスポート試験」「DS検定リテラシーレベル」「G検定」の3試験を活用したDi-Liteスキルの獲得を推奨すべく、「DX推進パスポート」が新たに定義されました。DX推進パスポートを取得した人は、そのデジタルバッジをSNSをはじめとする人材市場に公開することで、自分のスキルや市場価値をアピールできます。会社・組織にとっては、DX推進パスポートを持つ社員を明らかにすることで、社内のスキルのレベルの把握や、将来のDX人材育成計画の策定に役立つでしょう。本記事では、DX推進パスポートとはどういったものなのか、7種類のバッジや申請の流れ、注意点を分かりやすく解説します。DX推進パスポートとは?デジタル技術を使って会社や組織の変革を支援するチームのメンバーとして作業を担当する人を想定し、DX推進人材として活躍するうえで必要な基本的スキルを持っていることを証明するデジタルバッジのことです。DX推進パスポートは、「ITパスポート試験」「DS検定 リテラシーレベル」「G検定」という3つの試験で構成されています。1つの試験に合格すれば「DX推進パスポート1」、2つに合格すれば「DX推進パスポート2」、そして3つ全てに合格すると「DX推進パスポート3」というバッジが付与されるシステムです。なお、DX推進パスポートに有効期限は設けられておらず、IT・AI・データサイエンス分野において一定のリテラシーを保持していることの証明として半永久的に役立ちます。とはいえ、これらの領域は進化が早く、頻繁に情報が更新されるのが特徴です。パスポートには発行年が記載されるため、それを一つの目安にして進化・更新への対応度合いを推測できると言われています。DX推進パスポートのバッジ7種下表のとおり、3つの試験の合格数に応じて、7種類のバッジが付与されます(⚪️は合格)。パターンITパスポート試験(※1)G検定(※2)DS検定 リテラシーレベル(※3)13つの試験すべてに合格⚪️⚪️⚪️23つのうち、いずれか2つの試験に合格⚪️⚪️3同上⚪️⚪️4同上⚪️⚪️53つのうち、いずれか1つの試験に合格⚪️6同上⚪️7同上⚪️※1社会人が知っておくべき、ITの基礎的な知識を有しているかを測るもの※2ディープラーニングの基礎知識をもとに適切な活用方針を決定して、事業活用する能力・知識を有しているかを検定するもの※3データサイエンス、データエンジニアリング、ビジネスについてリテラシーレベルの実務能力と知識を有しているかを検定するものそれぞれの試験について詳しく知りたい場合は、以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。DX資格14選!DX推進に役立つおすすめ資格を紹介DX推進パスポートの申請の流れ申請は、「デジタル人材育成プラットフォーム ポータルサイト」にて行うことができます。初めてDX推進パスポートを申請するという場合、サイト内の「DX推進パスポート発行依頼」ボタンをクリックし、申請フォームに必要事項を記入して提出しましょう。申請にあたって、事前に準備が必要なものは以下のとおりです。各検定の合格を証明するもの(例:合格証書番号、合格者IDなど)氏名、メールアドレス、生年月日ちなみに、申請にあたって費用はかかりません。申請にかかる時間は、アンケートへの回答も含めて5分程度です。申請が承認され、デジタルバッジが発行されるまでには、1ヶ月ほどの期間がかかります。参考:経済産業省 デジタル人材育成プラットフォーム ポータルサイトDX推進パスポートの注意点DX推進パスポートの取得にあたって注意すべき代表的なポイントとして4つをピックアップし、順番に解説します。合格を公的に証明するものではないDX推進パスポートは、協議会が推奨する試験に合格したことを公式に証明するものではありません。第三者から各試験の合格について公的な証明を求められることがあった場合は、運営元が発行している合格証書やデジタルバッジなどを提示しなければなりません。例えば、国家試験であるITパスポート試験の合格を証明する書類は、「経済産業大臣が交付する合格証書」もしくは「独立行政法人情報処理推進機構が交付する合格証明書」とされています。書類は無いDX推進パスポートの取得にあたって、書類による証明書は付与されません。デジタルバッジによる証明のみが与えられます。ITパスポートは2021年4月以降の合格者が対象ITパスポート試験については、2021年4月以降の試験を受験し合格された人が対象とされています。例えば、2020年に合格していても、DX推進パスポートの取得要件には該当しません。なお、G検定およびDS検定は第1回目からすべての合格者が対象です。合格を証明する番号が申請に必須DX推進パスポートの申請では、ITパスポート試験、G検定、DS検定いずれかの検定の合格を証明する番号(※)が求められます。なお、G検定、DS検定については、合格時のメールアドレス情報も必須です。※ITパスポート試験は合格証書番号、G検定はアカウント番号、DS検定は合格者番号合格を証明する番号が分からない場合、下表の方法で確認しましょう。試験確認方法ITパスポート試験・合格時に交付された合格証書を確認する・合格証明書の交付手続き(以下URL)より確認するhttps://www.ipa.go.jp/shiken/goukaku/shinsei_01.htmlG検定・JDLA試験問合せフォームより確認するhttps://www.jdla.org/contact-exam/DS検定・DS協会問い合わせ窓口より確認するhttps://www.datascientist.or.jp/contact/まとめDX推進パスポートとは、「ITパスポート試験」、「DS検定 リテラシーレベル」、「G検定」の3試験の合格数に応じて発行されるデジタルバッジのことです。その中でも、ITパスポート試験と比較すると、DS検定やG検定などには「専門領域の資格」というイメージを抱く人も多く、取得ハードルが高いと感じるかもしれません。実際、人によっては少し難易度が高いと感じることもあるかもしれませんが、今後DXを含めたIT関連の業務に携わるうえでは求められるスキルと知識がまとまっているため、積極的にチャレンジしてみると良いでしょう。まずはITパスポート試験の合格を目標に据えて、さらに専門的な領域を目指す人はDS検定やG検定などにも挑戦しながら、DX推進パスポートの取得を目指してみてはいかがでしょうか。