2015年より、経済産業省は東京証券取引所と協力して「攻めのIT経営銘柄」を選定してきました。これは、中長期的に企業価値を高め、競争力を強化するために、積極的にITを活用して経営革新や収益向上・生産性向上を実現している企業を対象としています。その後の2020年には、この取り組みを「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」に名称を変更しました。背景には、DX推進が世界的な潮流となっていることを受け、企業選定の重点をDXに移したことなどがあります。この記事では、DX銘柄の制度概要、選定されることのメリットやプロセス、そして選定企業の一覧などをわかりやすく解説していきます。DX銘柄とは?DX銘柄とは、東京証券取引所に上場している企業の中から、企業価値を高めるためにDXを積極的に推進し、優れたデジタル活用の成果を上げている企業を選定する制度です。これにより、模範となる企業モデルを広め、経営者の意識改革を促進し、さまざまなステークホルダーからの評価を通じてDXのさらなる推進を目指しています。DX銘柄として選ばれる企業は、単に優れた情報システムの導入やデータ活用にとどまらず、デジタル技術を基盤としたビジネスモデルや経営変革に挑戦し続けている企業です。さらに、特に優れたDX施策を実施している企業を「DXグランプリ企業」として発表し、デジタル時代をリードする企業として位置づけています。そのほか、特に優れた施策を継続している企業を「DXプラチナ企業2024-2026」として選定し、他社のDX推進の参考になるよう期待しています。DX銘柄の位置づけ東京証券取引所に上場している企業の場合、DX認定制度に取り組めば、DX銘柄への応募資格が得られるという位置付けにあります。DX認定制度とは、国が策定した指針(デジタルガバナンス・コード)を踏まえてDX推進に関する優良な取り組みを実施している事業者について、事業者の申請にもとづいて国が認定を行っている制度のことです。経済産業省の「DX認定制度概要」によると、企業のDXレベルは以下4つの段階に分類されます。DX-ExcellentレベルDX-EmergingレベルDX-ReadyレベルDX-Ready以前レベルこのうち、DX認定制度の対象に該当するのは「DX-Readyレベル」以上の事業者です。そして、DX銘柄は「DX-Emergingレベル」以上の事業者から選ばれます。DX認定制度が設けられた背景には、2018年に経済産業省が公開した「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」があります。本レポートでは、企業が老朽化した基幹システムの継続的な使用による競争力低下が指摘されており、今後もDXが進まなかった場合、2025年以降に年間最大約12兆円もの経済損失が生じるおそれがあると警鐘が鳴らされています。2025年が目前に迫っている現在、DX認定制度はDXが進まない状況を改善するための施策として注目されています。そして、DX銘柄は、企業によるDX認定制度の積極的な活用を促すための役割を果たす制度として期待されています。DX認定制度について理解を深めたい場合は、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。DX認定制度とは?メリットや認定基準、申請の流れを解説DX銘柄に選定されるメリット本章では、DX銘柄に選定される企業にもたらされるメリットとして代表的なものを4つピックアップし、順番に詳しく解説します。①企業価値とブランドイメージの向上DX銘柄に選定されることで、企業がDXに積極的に取り組んでいることを対外的にアピールできます。DX推進によって業務効率が向上し、新しいビジネスモデルを導入することで、競争力が強化されます。他社と差別化された独自の強みを持てるようになり、企業価値の向上につながるでしょう。また、DX銘柄に選定されることで、革新的な企業としてのブランドイメージが強化され、優秀な人材の確保や取引先からの信頼性の向上も期待できます。②投資家の関心増加DX銘柄に選定されると、DXに成功している企業として将来的な成長性が期待されるため、投資家の関心が高まります。DX企業としてアピールすることは、企業の将来性に対するポジティブな兆候と受け取られることが多いです。これにより、多くの投資家が株式を購入することで、株価が上昇しやすくなる可能性があります。※株価は様々な要因で変動するため必ず上昇するわけではありません。DX銘柄に選定されることで、企業の長期的な成長が期待され、長期的な視点で投資を行う機関投資家や個人投資家が増加するかもしれません。また、DX銘柄への選定によって投資家からの関心が高まれば、企業では新たな資金調達を円滑に進めやすくなります。結果として、さらなるDX推進や事業拡大に必要な資金を確保しやすくなる可能性があります。③社会的評価の向上DX銘柄の選定プロセスでは、企業のDXへの取り組み状況およびその成果が評価されます。選考基準・プロセスには、具体的に以下のようなポイントが含まれます。選考ポイント補足DX戦略の明確さ企業が明確なDX戦略を持ち、それを実行しているかどうかが評価される。DXの推進体制DXを推進するための組織体制やリーダーシップが整っているかが評価される。デジタル技術活用の実績新しいデジタル技術を活用した具体的な成果やプロジェクトの実績がチェックされる。サステナビリティへの貢献デジタル技術を通じて、SDGsの実現に貢献しているかが考慮される。以上のような基準で選定されるため、DX銘柄に選定されること自体が企業のDXの取り組みが優れていることを意味します。これにより、企業の社会的評価やESG(環境・社会・ガバナンス)の評価向上につながるでしょう。④メディア露出の増加DX銘柄に選定された企業には、多くのメディアから注目が集まります。実際に「ASCII」や「日経クロステック」をはじめ、さまざまなWebサイトで取り上げられています。それだけでなく新聞やテレビ、業界誌などでも取り上げられる可能性があり、企業の知名度が飛躍的に向上するでしょう。メディア露出の増加は、多くの人々に企業の名前を知ってもらう絶好の機会です。ブランドの認知や取引先・顧客からの信頼の向上だけでなく、効果的なマーケティング手段としても機能するでしょう。広告費をかけずに広範囲に情報を発信できるため、コストパフォーマンスの高いマーケティングが実現します。結果として、新規顧客の獲得および既存顧客の維持が期待できます。DX銘柄の選考DX銘柄の選考を受ける際は、該当年度の 「デジタルトランスフォーメーション(DX)調査」への回答が求められます。DX調査への回答は、DX推進ポータルにログインして行います。DX推進ポータルより、選択式項目と記述式項目で構成される調査への回答内容を提出しましょう。提出は、すべての質問に回答しなくてもできますが、その場合にはDX銘柄選定のスコアリングにおいて不利になります。記述式回答を提出しない場合には、DX銘柄の選定対象から外れてしまいます。また、記述回答の補足資料としての動画・紙媒体などの提出は認められていない点にもご注意ください。DX推進ポータルにログインする際は、事前に「gBizID」を取得する必要があります。「gBizID」には、プライム・メンバー・エントリーの3種類のアカウントがありますが、DX推進ポータルはいずれの登録形態でも利用可能です。なお、DX銘柄の選考を受けるうえで、DX調査への回答のほかに特別に必要な作業はありません。ただし、銘柄選定対象となるには、あらかじめ「DX認定」を取得しなければなりません。DX認定企業がDX調査を提出した場合、自動的に選考プロセスに進む仕組みです。参考:DX推進ポータル選考プロセスここでは、「DX銘柄2024」の選考プロセスをご紹介します。まず、上場会社約3,800社のうち、受付期間内にDX調査(受付期間:2023年12月1日~12月21日18:00)に回答した企業が選考に進み、評価を受けることになります(フィードバックレポートを受けられます)。その後、一次評価および二次評価が行われます。なお、DX銘柄2024の一次評価からは、高い資本効率・収益性(ROE)を確保しつつ、社会課題の解決を通じた成長戦略を策定することで成長期待(PER)を集め、持続的に企業価値を向上させる経営に取り組む企業を評価するべく、これまで活用してきた「ROE」に加えて「PBR」が選定プロセスに活用されています。PBRとは「株価純資産倍率」のことで、株価が1株あたりの純資産(BPS)の何倍かを表した指標です。 一般的に、企業の純資産から見た株価の割高・割安を判断するために用いられています。選考の評価項目一次評価では、DX調査の「選択式項目」およびROE・PBRによってスコアリングが実施されます。スコアリングの配点は非公表です。選択式項目の内容は、下表のとおり定められています。項目内容1. ビジョン・ビジネスモデル企業は、ビジネスとITシステムを一体的に捉え、デジタル技術による社会および競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)を踏まえた、経営ビジョンの策定および経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデルの設計を行い、価値創造ストーリーとして、ステークホルダーに示していくべきである。2. 戦略企業は、社会および競争環境の変化を踏まえて目指すビジネスモデルを実現するための方策としてデジタル技術を組み込んだ戦略を策定し、ステークホルダーに示していくべきである。2-1. 組織づくり・人材・企業文化に関する方策企業は、デジタル技術を組み込んだ戦略の推進に必要な体制を構築するとともに、組織設計・運営の在り方について、ステークホルダーに示していくべきである。その際、人材の確保・育成や外部組織との関係構築・協業も、重要な要素として捉えるべきである。2-2. ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策企業は、デジタル技術を組み込んだ戦略の推進に必要なITシステム・デジタル技術活用環境の整備に向けたプロジェクトやマネジメント方策、利用する技術・標準・アーキテクチャ、投資計画等を明確化し、ステークホルダーに示していくべきである。3. 成果と重要な成果指標企業は、デジタル技術を組み込んだ戦略の達成度を測る指標を定め、ステークホルダーに対し、指標に基づく成果についての自己評価を示すべきである。4. ガバナンスシステム経営者は、デジタル技術を組み込んだ戦略の実施に当たり、ステークホルダーへの情報発信を含め、リーダーシップを発揮するべきである。経営者は、事業部門(担当)やITシステム部門(担当)等とも協力し、デジタル技術に係る動向や自社のITシステムの現状を踏まえた課題を把握・分析し、戦略の見直しに反映していくべきである。また、経営者は、事業実施の前提となるサイバーセキュリティリスク等に対しても適切に対応を行うべきである。二次評価は「記述式項目(DX推進に関連する具体的な取組)」を中心に、銘柄評価委員会にて最終評価が実施されます。二次評価の選考ポイントは、 企業価値貢献やDX実現能力、ステークホルダーへの開示などです。企業価値貢献は、デジタル技術を用いた「(A)既存ビジネスモデルの深化」および「(B)業態変革・新規ビジネスモデルの創出」と言う2つの観点から評価されます(AよりもBの方が高く評価されます)。DX実現能力は、主に以下の観点から評価されます。経営ビジョン戦略組織・人材・風土IT・デジタル技術活用環境の整備情報発信・コミットメント経営戦略の進捗・成果把握、軌道修正デジタル化リスク把握・対応ステークホルダーへの開示については、「単なるDX事例の発信にとどまらず、DXをどのように企業価値の向上やビジネスの成果につなげているかについて、ステークホルダーへ開示している」かどうかという点で評価が行われます。ここまでの一次評価および二次評価を通過し、要件(「DX認定」を取得していること)をクリアしている場合には、DX銘柄2024に選定されることになります。参考:経済産業省「「デジタルトランスフォーメーション調査(DX調査)2024」 について」2023年11月DX銘柄2024の選定企業一覧本章では、DX銘柄2024の選定企業について、「DX銘柄2024」「DXグランプリ企業2024」「DX注目企業2024」「DXプラチナ企業2024-2026」の順番で一覧にしてご紹介します。DX銘柄2024DX銘柄2024には、デジタル技術を前提としてビジネスモデルなどを抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化につなげていく「DX」に取り組む企業が選定されています。下表に、「DX銘柄2024」に選定された25社のうち「DXグランプリ企業2024」の3社を除く合計22社を一覧にしてまとめました。証券コード法人名東証業種分類2871株式会社ニチレイ食料品3591株式会社ワコールホールディングス繊維製品3407旭化成株式会社化学4568第一三共株式会社医薬品5108株式会社ブリヂストンゴム製品5201AGC株式会社ガラス・土石製品5411JFEホールディングス株式会社鉄鋼6367ダイキン工業株式会社機械6645オムロン株式会社電気機器6841横河電機株式会社電気機器7259株式会社アイシン輸送用機器9143SGホールディングス株式会社陸運業9101日本郵船株式会社海運業9201日本航空株式会社空運業9301三菱倉庫株式会社倉庫・運輸関連業9434ソフトバンク株式会社情報・通信業3132マクニカホールディングス株式会社卸売業2678アスクル株式会社小売業8316株式会社三井住友フィナンシャルグループ銀行業8601株式会社大和証券グループ本社証券、商品先物取引業8253株式会社クレディセゾンその他金融業4544H.U.グループホールディングス株式会社サービス業DXグランプリ企業2024DXグランプリ企業2024には、DX銘柄2024の選定企業25社の中でも、特に優れた「DX」の取り組みを行った企業が選定されています。下表に、「DXグランプリ企業2024」に選定された3社を一覧にしました。証券コード法人名東証業種分類5938株式会社LIXIL金属製品7011三菱重工業株式会社機械7936株式会社アシックスその他製品DX注目企業2024DX注目企業2024には、DX銘柄に選定されていない企業の中から、特に企業価値貢献部分において注目されるべき取り組みを行っている企業が選定されています。下表に、「DX注目企業2024」に選定された21社を一覧にしてまとめました。証券コード法人名東証業種分類1333マルハニチロ株式会社水産・農林業4901富士フイルムホールディングス株式会社化学4507塩野義製薬株式会社医薬品5333日本碍子株式会社ガラス・土石製品5711三菱マテリアル株式会社非鉄金属6902株式会社デンソー輸送用機器7911TOPPANホールディングス株式会社その他製品9501東京電力ホールディングス株式会社電気・ガス業9064ヤマトホールディングス株式会社陸運業9104株式会社商船三井海運業9233アジア航測株式会社空運業4768株式会社大塚商会情報・通信業2768双日株式会社卸売業8174日本瓦斯株式会社小売業8354株式会社ふくおかフィナンシャルグループ銀行業8616東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社証券、商品先物取引業7199プレミアグループ株式会社その他金融業8439東京センチュリー株式会社その他金融業2980SREホールディングス株式会社不動産業9216ビーウィズ株式会社サービス業9715トランス・コスモス株式会社サービス業DXプラチナ企業2024-2026DXプラチナ企業2024-2026には、特に傑出した取り組みを継続している企業が選定されています。DXプラチナ企業の選定要件は、以下のとおりです。3年連続でDX銘柄に選定されていること過去にDXグランプリに選定されていること上記のとおり、DXプラチナ企業の選定は3年間の時限措置とされているため、今回は「DXプラチナ企業2024-2026」として選定されています。下表は、「DXプラチナ企業2024-2026」に選定された2社です。証券コード法人名東証業種分類6501株式会社日立製作所電気機器7732株式会社トプコン精密機器参考:経済産業省「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」DX銘柄、DX注目企業、DXプラチナ企業の取組事例本章では、「DX銘柄2024」「DX注目企業」「DXプラチナ企業」に選定された企業の中から一部の企業をピックアップし、それぞれの取組事例から要点をまとめました。DX銘柄アシックスアシックスは、「DXグランプリ企業2024」に選定された企業の一社です。VISION2030として掲げている「誰もが一生涯、運動・スポーツに関わり、心と身体が健康で居続けられる世界の実現」を達成するため、世界規模でビジネスの場を広げています。時代の流れを見据えてDX推進に取り組んだ結果、業務の効率化や新たなコンテンツの提供など幅広く可能性を広げています。また、顧客の理解を深めることに注力し、プロダクトのみならず包括的な環境とサービスの提供によって、個々に寄り添うことを目指しているのが特徴です。中長期経営計画におけるデジタル・パーソナル・サステナブルという3本柱の1つとして、DX戦略が適切に位置付けられていると評価されています。「既存ビジネスの深化」や「新規ビジネスモデルの創出」の観点でも、財務成果を期待させる内容となっていると評価されました。DXによるDTC(Direct to Customer)シフトの強化および、それとスポーツ工学研究所の商品開発力と品質の掛け合わせによって、目標(中期経営計画2023)の大幅達成を実現しています。BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの活用も進んでおり、すでに経営判断に活用されている状況です。さらに、世界中に700人以上のデジタル専門家を擁しており、DX実現能力の高さが評価されています。第一三共第一三共は、「DX銘柄2024」に選定された企業の一社です。グローバルDXと各業務部門の連携を深めるため、CDXOと各部門の最高責任者が定期的な意思疎通を行っています。さらに、グローバルDX内に専門組織を設置し、各業務部門のDX推進担当者と協力して連携を強化する取り組みも行っています。各業務部門の組織の事業戦略に基づく課題やニーズの把握、DX実現による到達目標のイメージなどをもとにDX案件を個別に立案しています。併せて、全体の進捗管理と教育プログラムに関する議論・検討を重ねている状況です。グローバルDXと各業務部門が緊密に意思疎通を図ることで、各部門の事業特性や課題、ニーズに対応したきめ細やかなDX推進が実現されている点が評価されています。具体的な取り組み例としては、製薬業におけるDXの必要性を早くから認識し、データ駆動型創薬で必要となる「AI」「RWD(Real World Data)をはじめとするビッグデータ」「ビッグデータを管理解析するためのデータ基盤」などの技術について、それぞれの活用検討とシステム整備を進めてきました。多彩な技術の組み合わせにより、創薬を着実に革新させています。ブリヂストンブリヂストンも、「DX銘柄2024」に選定された企業の一社です。MicrosoftやAmazonとの世界規模での協業をスタートさせています。それぞれの協業の狙いは以下のとおりです。Microsoft:データを活用したタイヤセントリックソリューションの強化、リトレッドやタイヤの摩耗・耐久予測などのタイヤデータビジネスやデジタルソリューションの強化Amazon:小売りサービスソリューションやモビリティソリューションにおける顧客体験価値の向上独自のリアル×デジタルプラットフォームを上記2社のクラウドプラットフォームと連携させ、タイヤデータやモビリティデータを活用することで、データの価値を高め、新たな価値の創造と競争優位性の確保を目指しています。DXにおける取り組み事例の一つは、チリ銅鉱山でのタイヤ耐久予測を通じたソリューションです。新しいチャレンジとしてタイヤに関する膨大な経験・知見とデジタルの融合を駆使したオリジナリティ溢れるアルゴリズムの構築をベースに、従来のタイヤ摩耗予測を強化し、耐久予測を実現させています。DX注目企業2024アジア航測アジア航測は、「DX注目企業2024」に選定された企業の一社です。アジア航測のDXに関する取組みを、「AAS-DX5か年計画」における3つの柱「意識改革」「仕組みづくり」「技術革新」から紹介していきます。3つの柱補足意識改革インプット・アウトプット・アイデア共有を1つの施策として継続的な学びの場を創造する「DX人財教育プログラム」を実装し、3 年間で全社の約3割の従業員が受講する計画となっている。本プログラムは、新たな技術や知識を身に付け、それを実務に生かすためのもの。仕組みづくり全社的な基幹システムの刷新、営業部門のBIツール導入、生成AIを活用した生産性向上ツール「αGeAI」の開発を通じて、「意識改革」でインプットした技術、知識を実行できる仕組みを構築している。技術革新3DやXR、AIなどの新たな技術による「地理空間情報」のDX実現を通じて、社会生活における防災、環境保全、社会インフラ管理、まちづくりなどへのさらなる活用を検討している。その活用を促進するためのプラットフォーム「α-GeoSaaSⓇ」の開発に着手している。デンソーデンソーも、「DX注目企業2024」に選定された企業の一社です。自社で開発し、すでに世界中に普及しているQRコードおよび、その活用ノウハウをベースに、誰もが使いやすく導入しやすいトレーサビリティシステムの構築に取り組んでいます。例えば、食分野では、持続可能な食の安心安全確保や食の安定供給に寄与するソリューションの展開を推進しています。QRコードを活用して「熊本県産のあさり」という証拠を漁場から販売店まで伝達し、消費者が店頭で産地や水揚げ日等を確認できるシステムを構築しました。現在、熊本県産あさり流通のほとんど100%で活用されており、あさり購入への安心感醸成に寄与しています。DXプラチナ企業2024-2026トプコントプコンは、「DXプラチナ企業2024-2026」に選定された企業の一社です。「DX加速」に取り組むことを中期経営計画の柱の1つとして掲げ、広い視野から成長事業への投資、また成長を支える画期的なソリューションの創出を目指しています。DXの取り組み例をあげると、GPSをはじめとしたGNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)を活用して、建設機械や農業機械の位置を測り、地図や設計図面の情報と組み合わせることで運転の自動化を実現しました。これにより、建設や農業の作業の効率化に寄与しています。参考:経済産業省「「DX銘柄2024」選定企業レポート」2024年5月27日まとめDX銘柄に選定されることで、経済産業省や東京証券取引所から自社のDX取り組みが認められたことになります。これにより、株式市場でのアピールができるだけでなく、申請プロセスを通じて社内のDX推進体制の強化や人材育成にも効果が期待されます。ただし、申請には多くの項目があり、対応にはかなりの時間と負担がかかります。スムーズな申請手続きを進めるために、本記事や経済産業省の資料を参考にしてください。