DX実現に向けて、新しいプロジェクトの立ち上げや新しい商品・サービスの開発を進めていくには、しばしば高額な費用が発生します。資金の制約から、DXプロジェクトの着手・推進が難しい企業も少なくありません。実際、総務省の資料(2021年発表)によると、約6割の企業がDXを「実施していない、今後も予定なし」と回答しています。こうした状況を踏まえて、最近は企業のDXの取り組みを促すための補助金・助成金が続々と登場しています。補助金や助成金は、融資とは異なり返済の必要がありません。費用面での制約がある企業は、DXの推進にあたって補助金や助成金の活用を検討すると良いでしょう。本記事では、DXで活用できる補助金・助成金について、2023年〜2024年に申請受付を行っているものを中心に一覧にしてご紹介します。これからDX推進のための取り組みを検討している企業の方は、ぜひお役立てください。参考:総務省「令和3年版|情報通信白書」DXで活用できる補助金・助成金一覧まずは、DXで活用できる代表的な補助金・助成金を一覧にしてご紹介します。DXで活用できる補助金は、主に以下のとおりです。IT導入補助金ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金事業再構築補助金小規模事業者持続化補助金成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)デジタル人材育成支援補助金(山口県)函館市DX人材育成研修補助金(北海道函館市)富士見市中小企業チャレンジ支援事業補助金(埼玉県富士見市)DXで活用できる助成金として取り上げるのは、以下の制度です。キャリアアップ助成金人材確保等支援助成金(テレワークコース)サイバーセキュリティ対策促進助成金(東京都)躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(東京都)DXリスキリング助成金(東京都)人材開発支援助成金ひとことに「DXの補助金・助成金」といっても国だけでなく地方自治体が運営しているものを含めてさまざまな種類があるので、それぞれの特徴を把握し、自社で活用できるものを探して申請を検討すると良いでしょう。ここからは、DXで活用できる「補助金」「助成金」の順番で、それぞれの制度の概要を解説します。なお、本記事で取り上げている各制度に関する情報は、2024年1月現在の内容です。必ず各制度の最新情報を公式HPで確認したうえで、申請をご検討ください。DXで活用できる補助金まずは、DXで活用できる8つの補助金を順番にご紹介します。IT導入補助金IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の生産性向上を目指し、業務の効率化やDXの推進をサポートするための制度です。飲食・宿泊・医療・介護・保育などのサービス業から、製造業・建設業に至るまで、多様な業種の企業・事業者が活用できます。ITツールの導入に関して、業務システムの導入費用だけでなく、パソコンやタブレットなどのハードウェア購入費用も補助対象となる場合があります。そのため、DX推進にあたってITツールの導入を検討している企業にとって大いに役立つ補助金です。IT導入補助金を活用できれば、デジタル化のための初期投資を抑えつつ、効率的な業務運営を図れるでしょう。2024年2月中旬頃より、「IT導入補助金2024」の申請受付が開始される予定です。制度情報概要対象者中小企業、小規模事業者条件・申請者の事業場で支払われている最低賃金が、法律に定められた地域別の最低賃金を上回っていること・gBizIDプライムのアカウントを取得していること・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施するSECURITY ACTIONで『★』または『★★』の宣言を行っていること・中小企業庁のデジタル化支援ポータルサイト「みらデジ」で、「みらデジ経営チェック」を申請前に実施していること・B類型に申請しようとする場合、以下の要件をすべて満たす3年の事業計画を策定し、従業員に表明していること⚪︎期間中に給与支給総額を年平均1.5%以上増加させる計画(一定条件下では1%以上の増加でも可)⚪︎事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にする計画補助金(一例)・通常枠A類型(補助率2分の1以内/補助額5万~150万円未満)・通常枠B類型(補助率2分の1以内/補助額150万~450万円以下)・セキュリティ対策推進枠(補助率2分の1以内/補助額5万~100万円)・デジタル化基盤導入類型(補助率4分の3以内もしくは3分の2以内/補助額(下限なし)~350万円)・商流一括インボイス対応類型(補助率中小企業・小規模事業者などは3分の2以内、そのほかの事業者などは2分の1以内/補助額(下限なし)~350万円)HPhttps://it-shien.smrj.go.jp/ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下、ものづくり補助金)は、中小企業や小規模事業者が働き方改革やインボイス制度の導入などの変化に対応し、革新的な商品・サービスの開発や生産プロセスの更新などに必要な設備投資を支援する制度です。ものづくり補助金の対象となる経費は類型によって異なりますが、主に以下のものが該当します。機械装置の購入費用システム構築費技術導入に関わる費用広告宣伝費専門家のコンサルティング費用運営元である経済産業省の中小企業庁は、ものづくり補助金について、2022年から2024年にかけて継続的に実施する予定であると発表しています。制度情報概要対象者中小企業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人条件・以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定していること⚪︎計画期間中に、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させること(特定の要件を満たす場合、1%以上の増加でも可)⚪︎計画期間中に、事業場内で最も低い賃金を、地域別最低賃金プラス30円以上に設定すること⚪︎計画期間中に、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させること応募申請時点で、補助事業を実施する場所(工場や店舗など)を所有していること・その他の除外事由に該当しないことそのほか、各枠組みや類型によって追加の条件が設定されている場合があります。補助金(一例)・通常枠(補助率2分の1もしくは3分の2※小規模企業者・小規模事業者、再生事業者/補助額 100万円〜1,250万円※従業員数で変動)・回復型賃上げ・雇用拡大枠(補助率3分の2/補助額 100万円〜1,250万円※従業員数で変動)・デジタル枠(補助率3分の2/補助額 100万円〜1,250万円※従業員数で変動)・グリーン枠(補助率3分の2/補助額 100万円〜4,000万円※エントリー類型・スタンダード類型・アドバンス類型、従業員の人数で変動)・グローバル市場開拓枠(補助率2分の1、小規模企業者・小規模事業者3分の2/補助額100万円~3,000万円)HPhttps://portal.monodukuri-hojo.jp/事業再構築補助金事業再構築補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応し、企業の新しい分野への進出・事業や業態の転換・事業の再編成など、大胆な事業再構築を目指す企業を支援するための制度です。DXを推進する際の新規事業開拓や事業転換などで大いに役立ちます。事業再構築補助金の対象となる費用には、以下のようなものが該当します。機械装置やシステムの構築に関する費用技術導入に必要な費用専門家へのコンサルティング料クラウドサービス利用料外注費用知的財産権に関連する経費広告や販売促進にかかる費用研修費用2024年4月現在、第11回(公募期間:2023年8月10日〜2023年10月6日)までの公募が終了しています。2024年4月23日、第12回(公募期間:2024年4月23日(火)〜2024年7月6日(金)18:00まで厳守)の公募が開始しています。今後(第13回以降)の公募については、事業再構築補助金のホームページをご確認ください。制度情報概要対象者日本国内に本社を構える中小企業、中堅企業など条件・事業再構築指針に示された「事業再構築」の定義に合致していること・認定経営革新等支援機関より事業計画の確認を受けていること・補助事業終了後の3~5年で、付加価値額が年率平均4.0%以上増加する、もしくは従業員一人当たりの付加価値額が年率平均4.0%以上増加する見込みのある事業計画を策定すること(枠組みにより異なる)そのほか、補助金の枠組み・類型によって異なる要件が設けられています。補助金(一例)・成長枠(通常類型)⚪︎従業員20人以下:100万円~1,500万円(2,000万円)⚪︎従業員21人~50人:100万円~3,000万円(4,000万円)⚪︎従業員51人~100人:100万円~4,000万円(5,000万円)⚪︎従業員数101人以上:100万円~100 万円~6,000万円(7,000万円)()内は短期に大規模な賃上げを行う場合・コロナ回復加速化枠(通常類型)⚪︎従業員数5人以下:100万円~1,000万円 ⚪︎従業員数6~20人:100万円~1,500万円 ⚪︎従業員数21~50人:100万円~2,000万円 ⚪︎従業員51人以上:100万円~3,000万円HPhttps://jigyou-saikouchiku.go.jp/小規模事業者持続化補助金小規模事業者持続化補助金は、働き方改革やインボイス制度の導入など、制度の変更に直面している小規模事業者を支援する制度です。販路拡大や業務の効率化を目指す小規模事業者の取り組みに対し、必要な費用の一部を補助することで援助します。補助対象となる経費には、以下のようなものが含まれます。販路開拓に必要なチラシやパンフレットの作成費用ホームページの制作やWeb広告の費用店舗の改装にかかる費用展示会への出展費用新商品開発に関わる費用2023年12月現在、第14回受付締切分の公募は終了しており、第15回公募受付が準備中です。制度情報概要対象者商工会議所地域もしくは商工会地域の小規模事業者など(業種ごとに従業員数により小規模事業者に該当するか否かが判断される)、会社および会社に準ずる営利法人、個人事業主、一定の要件を満たした特定非営利活動法人条件・策定した経営計画に基づき、販路開拓や業務効率化(生産性向上)のための取り組みを行うこと・商工会や商工会議所などの支援機関を通じて、事業に取り組むこと・以下に該当する事業を行うものではないこと⚪︎国の他の補助金などと重複する事業⚪︎事業終了後、おおよそ1年以内に売上げの増加が見込まれない事業⚪︎射幸心をそそる、公の秩序や善良な風俗を害する、または公的な支援にふさわしくないと判断される業種(例:マージャン店、パチンコ店、ゲームセンター、性風俗関連特殊営業など)に該当する事業そのほか、補助金の枠組みや類型によっては、これらの基本条件に加えて追加要件や異なる条件が設定されている場合があります。補助金(一例)・通常枠:上限50万円・後継者支援枠:上限200万円・創業枠:上限200万円HPhttps://s23.jizokukahojokin.info/成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)成長型中小企業等研究開発支援事業は、中小企業等が大学・公設試等と連携して行う取組を支援する補助金制度です。さまざまな条件はありますが、採択されれば通常枠で最大9,750万円(3年間合計)の補助金が受けられます。ファンドなどからの出資が見込まれる事業の場合、得られる補助額はさらに大きくなり、出資獲得枠として最大3億円(3年間合計)の補助を受けることが可能です。2023年現在、令和5年度の第2回公募まで終了しており、以降の公募については未定です。制度情報概要対象者・条件中小企業庁が公開する「中小企業の特定ものづくり基盤技術及びサービスの高度化等に関する指針」に記載された内容に関する研究開発を行った企業補助金(一例)・通常枠⚪︎補助金の上限:単年度4,500万円(3年間の合計額:9,750万円)・出資獲得枠⚪︎補助金の上限:単年度1億円(3年間の合計額:3億円)HPhttps://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/sapoin/ここから残り3つは都道府県の自治体が運営している補助金です。2024年1月時点で2023年度の募集を終了している場合が多いため、まだ募集があるところをピックアップしています。デジタル人材育成支援補助金(山口県)デジタル人材育成支援補助金は、公益財団法人山口産業振興財団が中小企業におけるDXの推進を目的に設けている制度です。従業員がデジタル技術に関する短期の民間研修を受講する際の費用の一部を支援しています。2023年度の申請受付期間は、2023年5月15日(月)から2024年2月末日までです。補助金は年度の予算内で随時募集されており、山口県内の中小企業がデジタル分野での人材育成を進めるうえで大いに役立つでしょう。制度情報概要対象者山口県内に事業所を有する中小企業者条件中小企業が活用する個別のデジタル技術(IoT、AIなど)について、従業員などに短期の民間研修等を受講させること補助金・補助率:経費の10分の3以内・補助金の上限:1人あたり30,000円HPhttps://www.pref.yamaguchi.lg.jp/press/210711.html函館市DX人材育成研修補助金(北海道函館市)函館市DX人材育成研修補助金は、函館市内の中小企業などにおけるDXの推進を支援し、地域経済の活性化を図ることを目的に、社内のDX人材の育成にかかる経費の一部を補助する制度です。募集期間は2023年4月5日〜2024年2月29日(木)までとされています。制度情報概要対象者函館市内に事業所を有する中小企業,小規模事業者,個人事業主条件DXに関する専門的な知識、技能の修得や向上を目的とする内容のものであり、以下の3つを満たしていること・OFF-JTにより行われるもの(eラーニング含む)・受講案内や受講料などが一般的に公開されており、講座ごとに受講者1人あたりの金額があらかじめ定められているもの・受講する講座の受講時間が6時間以上であること※複数の講座を受講する場合は、2つの講座の受講時間が6時間以上である必要があります。なお、受講時間に、食事を伴う休憩時間は含まれません。補助金・補助率:補助対象経費の2分の1以内・補助上限額:30万円HPhttps://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2023040100019/富士見市中小企業チャレンジ支援事業補助金(埼玉県富士見市)富士見市中小企業チャレンジ支援事業補助金は、富士見市内の中小企業等の競争力強化および地域産業の活性化を図るため、要件を満たした事業に挑戦する中小企業等に対して補助金を交付する制度です。補助金の申請受付期間は、2023年4月3日から予算終了までとされています。制度情報概要対象者・市内に本社や事業所を有し、事業を営んでいる中小企業等・別表第1に定める要件を満たす者・市税の滞納がない者条件以下いずれかの補助対象事業に挑戦すること・経営改善事業・研究開発事業・人材育成事業・販路開拓事業・デジタル・トランスフォーメーション(DX)化事業・経営革新事業補助金(一例)・補助率:補助対象経費の2分の1以内・補助上限額:50万円HPhttps://www.city.fujimi.saitama.jp/60jigyo/06sangyou/syoukou/tyusyoukigyoutyarenz.htmlDXで活用できる助成金続いて、DXで活用できる代表的な6つの助成金を順番にご紹介します。キャリアアップ助成金キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善の取組などを実施した事業主を支援する助成金です。厚生労働省が管轄しています。キャリアアップ助成金には、「正社員化支援」と「処遇改善支援」の2種類があり、DX推進のために人員体制を強化したり、賃上げを行ったりといった場合に活用できます。キャリアアップ助成金の活用にあたっては、企業規模が問われません。そのため、中小企業や小規模事業者だけでなく、大企業でも活用できる点が特徴的です。制度情報概要対象者雇用保険適用事業所の事業主(公益法人、特定非営利活動法人、医療法人、社会福祉法人などを含む)条件・雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を設置していること・各雇用保険適用事業所で、対象となる労働者に関するキャリアアップ計画を策定し、管轄の労働局長からその受給資格に関する認定を受けていること・対象となる労働者の労働条件・勤務状況・賃金の支払い状況などを明確にする書類を整備し、賃金の算出方法を明示できること・キャリアアップ計画期間内に、計画に基づいたキャリアアップの取り組みを実施していること・そのほかの除外事由に該当しないこと助成金(一例)・正社員化コース(1人あたりの助成額)⚪︎中小企業:57万円(有期雇用労働者)、28万5,000円(無期雇用労働者)⚪︎大企業:42万7,500円(有期雇用労働者)、21万3,750円(無期雇用労働者)※そのほか「派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用する場合」など、ケースによって加算額あり。・賃金規定等共通化コース(1事業所あたりの助成額)⚪︎中小企業:60万円⚪︎大企業:45万円HPhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouroudou/parthaken/jigyounushi/career.html人材確保等支援助成金(テレワークコース)人材確保等支援助成金(テレワークコース)は、良質なテレワークを制度として導入・実施することで、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果が表れた中小企業事業主を助成する制度です。「機器等導入助成」と「目標達成助成」の2つから構成されています。DX推進の一環として、テレワークを導入する際に役立つでしょう。制度情報概要対象者良質なテレワークを制度として導入・実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主条件【機器等導入助成】・新たにテレワークに関する制度を規定した就業規則または労働協約を整備すること・テレワーク実施計画認定日以降、機器等導入助成の支給申請日までに、助成対象となる取組を1つ以上行うこと・評価期間(機器等導入助成)における、テレワークに取り組む者として事業主が指定した対象労働者のテレワーク実績が、次のいずれかを満たすこと⚪︎評価期間(機器等導入助成)に1回以上対象労働者全員がテレワークを実施する⚪︎評価期間(機器等導入助成)に対象労働者がテレワークを実施した回数の週平均を1回以上とする・テレワークの実施促進について企業トップ等からのメッセージ発信を行うなど、労働者がテレワークを実施しやすい職場風土作りの取組を行う事業主であること【目標達成助成】・評価期間後1年間の離職率が、計画提出前1年間の離職率以下であること・評価期間後1年間の離職率が30%以下であること・評価期間(目標達成助成)に、1回以上テレワークを実施した労働者数が、評価期間(機器等導入助成)初日から1年を経過した日における事業所の労働者数に、計画認定時点における事業所の労働者全体に占める対象労働者の割合を掛け合わせた人数以上であること助成金【機器等導入助成】・支給対象経費の30%※以下のいずれか低い方の金額が上限額・100万円または「20万円×対象労働者数」【目標達成助成】支給対象経費の20%(35%)※以下のいずれか低い方の金額が上限額・100万円または20万円×対象労働者数※()内は賃金要件を満たした場合に適用されるHPhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/teleworkzyoseiR3.htmlサイバーセキュリティ対策促進助成金(東京都)サイバーセキュリティ対策促進助成金は、中小企業等が自社の企業秘密や個人情報などを保護する観点から構築したサイバーセキュリティ対策を実施するための設備等の導入を支援する制度です。公益財団法人東京都中小企業振興公社により提供されています。助成対象経費は、サイバーセキュリティ対策を実施するために必要となる以下の機器等の導入およびクラウド利用に係る経費です。統合型アプライアンス(例:UTM)ネットワーク脅威対策製品(例:FW、VPN、不正侵入検知システム)コンテンツセキュリティ対策製品(例:ウィルス対策、スパム対策)アクセス管理製品(例:シングル・サイン・オン、本人認証)システムセキュリティ管理製品(例:アクセスログ管理)暗号化製品(例:ファイルの暗号化)サーバー(最新のOS搭載かつセキュリティ対策が施されたものに限る)標的型メール訓練サーバーについては、最新OSへの更新を伴い他のセキュリティ対策と合わせて実施すものであり、処理能力の向上を図るものでないことが求められます。制度情報概要対象者・条件IPAが実施しているSECURITY ACTIONの2段階目(★★二つ星)を宣言している東京都内の中小企業者・中小企業団体助成金(一例)・助成率:対象経費の2分の1以内・助成額の上限:1.500万円までHPhttps://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/cyber.html躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(東京都)躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、市場の変化や技術革新に積極的に対応して持続可能な成長を目指す中小企業を対象に、事業推進のために必要となる新しい機械設備の導入費用の一部を助成するものです。公益財団法人東京都中小企業振興公社により提供されています。助成対象経費は、機械装置、器具備品、ソフトウェアの新たな導入・搬入・据付などに要する経費で、1基50万円(税抜)以上のものに限られます。2022年度より、中小企業のDX推進を加速化させるべく、予算が大幅に追加されました。また、省エネにかかる取組および賃金引上げの取組を支援するために「競争力・ゼロエミッション強化/賃上げ促進」区分が設けられ、助成率が優遇されています。2023年度の第6回のスケジュールは、申請予約期間が2023年10月30日から11月7日まででした。来年度以降に申請を検討している方は、参考にしてください。制度情報概要対象者2023年10月1日現在で、東京都内に登記簿上の本店または支店があり、都内で2年以上事業を継続している中小企業等※都外設置の場合は東京都内に本店があること条件以下いずれかの事業を展開していること・さらなる発展に向けて競争力強化を目指した事業展開に必要となる機械設備を新たに導入する事業・IoT、AI、ロボットなどのデジタル技術の活用により、DX推進のための機械設備を新たに導入する事業・都市課題の解決に貢献し、国内外で市場拡大が期待される産業分野で新事業活動に取り組むことで、イノベーション創出を図るために必要な機械設備を新たに導入する・事業事業承継を契機として、後継者による事業多角化や新たな経営課題の取り組みに必要となる機械設備を新たに導入する事業助成金(一例)・DX推進助成率:3分の2以内・助成上限額:1億円HPhttps://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/yakushin.htmlDXリスキリング助成金(東京都)DXリスキリング助成金は、東京都内の中小企業等が従業員に対して、民間の教育機関等が提供するDXに関する職業訓練を実施する際に係る経費を助成する制度です。公益財団法人東京しごと財団により提供されています。申請期間は2023年4月1日~2024年2月29日までで、郵送のみでの受付とされています。制度情報概要対象者中小企業もしくは個人事業主条件【申請要件】・都内に本社又は事業所(支店・営業所など)の登記があること・訓練に要する経費を従業員に負担させていないこと・助成を受けようとする訓練について国又は地方公共団体から助成を受けていないことなど【助成対象となる訓練の主な要件】・中小企業がDXに関する自社内に外部講師を招いて実施する訓練および民間の教育機関等が提供する集合またはeラーニング等により実施する訓練(※同時かつ双方向で実施される、オンライン会議システムを使用した訓練も含まれる)・DXに関する専門的な知識・技能の習得と向上を目的とする訓練または資格の取得をするための訓練であること・下記いずれかの条件を満たす訓練であること⚪︎教育機関等の受講案内と受講に係る経費(受講料)が、ホームページやパンフレットなどで一般に公開されており、1講座および受講者1人あたりの受講料があらかじめ定められていること(単講座)⚪︎企業の課題に応じた内容を企画し、自社内に外部講師(教育機関など)を招いて実施するものであり、1時間あたり10万円以内であること(オーダーメイド講座)助成金・助成率:助成対象経費の3分の2・助成上限額:64万円/社・年度HPhttps://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/joseikin/dx.html人材開発支援助成金人材開発支援助成金は、事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識および技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成する制度です。DX推進にあたって行われる従業員の人材育成やスキルアップにかかる費用を助成してくれるため、企業はより少ない費用で社員のDX教育を実施することが可能です。なお、人材開発支援助成金は、しばしば前述した「キャリアアップ助成金」と混同されやすいので注意しましょう。これら2つの助成金は類似していますが、実際には対象者や支援目的などが大きく異なっています。まず、人材開発支援助成金の対象者は、正規雇用労働者です。正規雇用労働者のスキルを高め、企業の永続的な発展につなげていくことを目的に助成金を支給しています。これに対して、キャリアアップ助成金の対象者は、パートやアルバイト、派遣労働者などの非正規雇用労働者(有期雇用労働者)です。非正規雇用労働者が正規雇用労働者になるための支援を通じて、雇用の安定・処遇の改善を推進していくことを目的に助成金を支給しています。制度情報概要対象者雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識および技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した事業者等条件・雇用保険の適用事業所・支給のための審査に協力する(例:支給・不支給を決定するための審査に必要な書類などを整備・保管しているなど)・申請期間内に申請するなど※以下のいずれかに該当する事業者は受給できない・支給申請した年度の、前年度以前の保険年度(契約日から1年ごとの期間)で労働保険料を納付していない事業所・性風俗関連営業や接待を伴う飲食営業、またはこれら営業の一部の受託営業を行う事業所・事業主などが暴力団とかかわりのある場合支給申請日または支給決定日において倒産している事業所など助成金(一例)【人材育成支援コース】・助成率:30%〜100%・助成上限額:賃金助成(380円〜960円/1人1時間)、OJT実施助成(9万円〜25万円/1人1コース)【人への投資促進コース】・助成率:45%〜75%・助成上限額:賃金助成(380円〜960円/1人1時間)※長期教育訓練休暇制度は(6,000円〜7,200円/1人1日)HPhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html補助金と助成金の特徴や違い補助金・助成金は、いずれも返済が不要である点に大きな共通点がありますが、相違点もあるので把握しておきましょう。下表に、補助金と助成金それぞれに見られる主な特徴をまとめました。見比べて違いについても確認してみてください。種類補助金助成金提供する機関経済産業省、地方自治体、各団体など厚生労働省、地方自治体、各団体など提供する目的新規事業の立ち上げ、自治体との連携など雇用拡大、人材育成など魅力種類が豊富で自社に合ったものを見つけやすい支給額の幅が広く、経費の適用範囲が広い対象者・対象活動などの基準を満たしていれば、受給できる可能性が高い申請期間も長期間に設定される傾向があり、随時募集されていることが多いため、受給しやすい注意点採択件数や予算などが事前に明確に決まっているものが多く、申請したからといって必ずしも受給できるわけではない人気の高い助成金は、受付の終了が早いDXで補助金・助成金を活用する流れそれぞれの制度により異なりますが、DXに関する補助金・助成金を活用する流れは、以下のとおりです。各制度の申請条件をチェック活用する制度の選定・申請採択を受ける各ステップについて、順番に解説します。①各制度の申請条件をチェックDXを推進するうえで役立つ補助金・助成金は、申請した全ての企業に自動的に支給されるわけではありません。そのため、補助金・助成金を申請する前に、自社が申請条件を満たしているかどうかをチェックすることが重要です。特に規模が大きな企業の場合、申請条件に該当しないケースも多いため注意が必要です。②活用する制度の選定・申請申請条件に加えて、受給額や対象経費などもチェックしたうえで、自社に適した補助金・助成金を選定しましょう。選定したら、申請に必要な書類を集めて運営事務局に提出します。以下に、補助金・助成金の申請に必要な書類の一例をまとめました。申請書事業計画書決算関係の書類印鑑証明書納税証明書申請する補助金や助成金の種類によって求められる書類は異なるため、事前に確認しておきましょう。また、書類の準備には時間がかかりやすいので、なるべく早く取り掛かることをおすすめします。不備や書類不足があると、補助金・助成金の受給に時間がかかる可能性があるため、スケジュールに余裕を持って申請書類をチェックすることが大切です。③採択を受ける申請書類を提出した後は、運営事務局による採択結果の発表を待ちます。無事に採択されたとしても、補助金や助成金が直ちに支給されるわけではありません。採択後は、DXに関する事業計画に沿って、新サービスの導入・新製品の開発・業務改善などの事業を進めていきます。そして、実際に行った事業内容やかかった経費に関する実績報告書を運営事務局に提出する必要があります。この報告書が適切であると運営事務局に判断されて、はじめて補助金・助成金が支払われるのです。補助金・助成金の金額が大きい場合、複数年にわたって報告書の提出が求められることもあります。DXで補助金・助成金を活用する際の注意点最後に、DX推進において補助金・助成金を活用することには大きな魅力がある反面、注意点も存在します。DXで補助金・助成金を活用する際、特に把握しておきたい注意点は以下の2つです。複数制度の併用はできない申請には締め切りが設定されているそれぞれの注意点を順番に詳しく解説します。複数制度の併用はできない最近では、国や地方自治体などが、企業のDX導入を支援するためにさまざまな助成金・補助金を提供しています。しかし、同一の事業に対して複数の補助金・助成金を併用することは基本的に不可能です。例えば、「DXに向けた新規システム開発と生産性向上の事業」に対して、2つの異なる補助金・助成金を同時に活用することはできません。とはいえ、複数の補助金・助成金に申請すること自体は問題ありません。また、地方公共団体その他の団体が提供する補助金・助成金の中には、国の制度と併用できるものもあります。以上の点を踏まえて、補助金・助成金の申請前には、自社の地域で利用可能な制度を調査し、最適なものを選定することが重要です。申請には締め切りが設定されている助成金・補助金を申請する際、それぞれの制度に設定された締切日・予算上限などにも注意が必要です。予算の上限に達すると、締切日前であっても申請受付が終了することがあるため、できるだけ早期に申請の検討と準備を始めることが肝心です。また、助成金や補助金には、同じ年度に複数回にわたって申請受付が行われるものもあります。以上の点を踏まえて、常日頃から国や地方自治体などの動向に注意を払い、申請を逃さないために新たな申請機会がないかチェックすることが重要です。まとめこの記事では、企業のDX推進に活用できる補助金・助成金の中から、2023年〜2024年に申請受付を行っているものを中心にご紹介しました。DXの推進に役立つ助成金や補助金は多種多様に存在しますが、特に中小企業を対象としたものが多く、提供される金額は数十万円から数千万円まで幅広いのが特徴です。助成金や補助金にはそれぞれ異なる要件が設定されているため、申請前に条件をしっかりと確認しておくことが重要です。今やDX推進は、国策とも結びついており、企業を存続させていくうえで欠かせない要素の一つとなっています。補助金・助成金の内容を十分に理解し、自社に最も適したものを選択して、DXをより効果的に推進していきましょう。