近年、ビジネスの分野では、DXが大きな注目を集めています。しかし、DXについて学習しようとしても、「どこから手を付けるべきか分からない」こともあるでしょう。そこでDXスキルの効率的な習得とスキルの証明を行うために、DX検定へのチャレンジがおすすめです。DX検定は、これからの社会の発展およびビジネス全般に必要なデジタル技術の利活用を進める人材が、日々爆発的に増加しているバズワードを確かな知識として身につけるべく、先端IT技術トレンドやビジネストレンドについて幅広く問う知識検定です。2018年7月に創設され、2024年7月に第13回が実施されます。本記事では、DX検定とはどういった試験なのか、スケジュールや難易度、学習方法とともに分かりやすく解説します。DX検定とは?DX検定とは、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に携わる人に向けた検定制度のことです。民間資格の一つであり、「一般社団法人 日本イノベーション融合学会」が主催しています(運営委託先は株式会社ネクストエデュケーションシンク)。DX検定の取得は、IT分野の最新技術・トレンドを幅広く、体系的に理解するための絶好の機会です。企業でDXを成功させるには、全社で一丸となって取り組むことが欠かせません。そのためには、関連の専門用語について全員が共通の理解を持っていることが重要です。そうでないと、認識のズレからプロジェクトが停滞するリスクが生じます。DX検定に取り組むことで、DXに関する最新技術についての知識を深め、理解度の向上を図りましょう。また、DX検定の取得を通じて、ただ最新技術を知るだけでなく、それをいかにビジネスに応用できるのか、実際の活用例を学ぶことも可能です。最先端の技術を知っているだけでは、DXをどのように推進していけば良いのか道筋が見えません。技術の知識とともに、それをビジネスでどう生かすのか具体例を学べる点が、DX検定の魅力的なメリットだと言えます。参考:一般社団法人 日本イノベーション融合学会DX検定の概要と出題範囲本章では、DX検定の試験概要と出題範囲について順番に解説します。概要下表にDX検定の試験概要をまとめましたので、受験を申し込む前に確認しておきましょう。出題形式多肢選択式(120問)試験時間60分合格基準レベル認定制(スコアに応じて以下いずれかの認定を得られる)・スコア800以上:DXプロフェッショナル レベル・スコア700以上:DXエキスパート レベル・スコア600以上:DXスタンダード レベル受験料6,600円(税込)受験会場Web受検なお、DX検定の受験および資格取得にあたって、免除制度は設けられていません。出題範囲DX検定では、DXに関する用語の理解が問われます。当然ながら、専門用語の学習が肝要です。DX検定は、大まかに「ビジネス」「技術」という2つの分野で構成されています。ビジネス下表に、ビジネスの分野における出題範囲をまとめました。大分類説明代表的な用語例次世代ビジネストレンド人財・文化、健康・食、環境・産業、経営・金融、生活、科学・技術に関するイノベーション・CDO (最高デジタル責任者)・再生医療・カーボンニュートラル・フィンテック・MaaS、SDGs・クリスパーキャスナイン戦略・理論(経営革新としてのIT)経営・イノベーション戦略、業務プロセス・情報システムのイノベーション、DXを活用した製品・サービス、ビジネスモデル・マーケティングのイノベーション、人財・意識・組織のイノベーションに関する概念ビジネスイノベーションに関する理論と方法論・Society5.0・デジタルツイン・リーンスタートアップ・UI/UX(User Interface/User Experience)・ジョブ型雇用・ブロックチェーン業務(仕組みとしてのIT)プロセス・イノベーションに関するロボット、AI・ソフトウェア、IoT・ハードウェア、ビッグデータ・データサイエンス、クラウドコンピューティング、セキュリティ関連技術の活用事例・デジタル物流(ニトリ変身)・RPA(Robotics Process Automation)・Predix (GE IoTプラットフォーム)・CIOF(Connected Industries Open Framework )・クラウドERP・メタバース商品(商品としてのIT)プロダクト・イノベーションに関するロボット、AI・ソフトウェア、IoT・ハードウェア、ビッグデータ・データサイエンス、クラウドコンピューティング、セキュリティ関連技術の活用事例・3Dプリンター・AIアナウンサー・ウェアラブルデバイス・Kaggle(カグル)・GitHub(ギットハブ)・ローカル5Gサービス(サービスとしてのIT)ビジネスモデル・イノベーションに関するロボット、AI・ソフトウェア、IoT・ハードウェア、ビッグデータ・データサイエンス、クラウドコンピューティング、セキュリティ関連技術の活用事例・ロボットタクシー・Amazon Alexa・IoTプラットフォームサービス・デジタル通貨・UBER、airbnb・オンライン診療システムIT機器 (道具としてのIT)IT機器・サービスのイノベーションに関するロボット、AI・ソフトウェア、IoT・ハードウェア、ビッグデータ・データサイエンス、クラウドコンピューティング、セキュリティ関連技術の活用事例・Pixel Visual Core・オープンソースソフトウェア・エクサスケールスパコン・Amazon DynamoDB・米MS新クラウドスパコン・Google Nest Hub技術下表に、技術の分野における出題範囲をまとめました。大分類説明代表的な用語例ロボットとスマートマシーンロボット・ロボット技術およびスマートマシーン(ドローン等)の基礎・応用・開発知識・人型ロボット・災害救助ロボット(レスキューロボット)・顔認証技術・スマートマシーン(B2Bロボット)・自律走行車・自動運転ソフトウェアAIとソフトウェアAIおよびソフトウェアの基礎・応用・開発知識・ディープラーニング(深層学習)・オープンAI発表の「GPT-3」・GPUコンピューティング・Python(パイソン)・VR(仮想現実)・ブレインマシンインターフェースIoTとハードウェアIoTおよびハードウェアの基礎・応用・開発知識・CPS(Cyber Physical System)・コネクテッドカー・IoTプラットフォーム・IoTデバイス・CMOSイメージセンサー・FPGA(Field Programmable Gate Array)ビッグデータとデータサイエンスビッグデータおよびデータサイエンスの基礎・応用・開発知識・データマイニング・DWHサービス・Hadoop・アナリティクス(統計解析)・データのクレンジングツール・Apatch SparkクラウドとIT開発・運用クラウドコンピューティングおよびIT開発・運用の基礎・応用・開発・構築知識・コンテナ型仮想化・FaaSプラットフォーム・DockerHub・マイクロサービス・ローコード開発ツール・AIペアプログラミング機能「GitHub Copilot」サイバーセキュリティとネットワークサイバーセキュリティおよびネットワークの基礎・応用・構築知識・EDR情報セキュリティ・マルウェア対策・CSIRT(Computer Security Incident Response Team)・Web3.0(非中央集権Web)・LPWA(Low Power WideArea)・NFV (Network Function Virtualization)参考:ネクストエデュケーションシンク「DX検定™の「DXシラバス」V4_2023」2023年10月2日更新DX検定のスケジュールDX検定は、7月と1月の年2回実施されています。申込期間は、例年、7月の開催は4月~6月、1月の開催は10月~1月です。なお、合格発表日は、検定実施日の約1カ月後です。試験の実施時期および申込期間は変更になる可能性もあるため、こまめに公式HPをチェックしておくと良いでしょう。DX検定の受験方法下表に、企業・法人単位でDX検定の受験を申し込む流れをまとめました。手順補足申し込み公式HPから申込フォーム(.xlsxファイル)をダウンロードし、事務局までメールにて送付する受領連絡基本的に3営業日以内に、事務局から受領連絡が来る受検情報の送付受験日前の所定の期日までに、リストに記載したメールアドレスに、個別に受検用のID・PWが連絡される受検受験日になったら、メールでの受検案内に従い受検を開始する結果発表受験日から1ヶ月ほどすると、受験者にメールで受検結果が開示されたことが通知されるDX検定の過去問2024年3月時点で、DX検定の過去問は公開されていません。ただ、主催者がサンプル問題を公開しているので、出題の傾向を把握できます。参考情報として、サンプル問題の一つを以下にまとめました。問1ゲノム編集とは、人工的に合成した酵素で生命の設計図であるDNAを切断し任意の新たなDNAを作成する技術で、 農林水産業や医療にブレークスルーをもたらすと期待されている。特定の配列を断片として与えて切断部に挿入(ノックイン)し、 DNA切断を繰り返して特定の遺伝子の機能を止めるノックアウトができる。 ゲノム上の任意の場所の塩基配列を効率的に編集できるようになったことから 広く使われるようになった核酸分解酵素(ヌクレアーゼ)を用いた技術を何というか。選択肢・CRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)・Biology・遺伝子組み換え・ノックイン・ノックアウト正解・CRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)公式HPには、上記以外にもサンプル問題が掲載されているので、受験前に確認しておきましょう。参考:DX検定™(日本イノベーション融合学会*ITBT(R)検定)DX検定の難易度「過去問を確認できないならば、せめて試験の難易度を知っておきたい」という方もいるはずです。DX検定の受験者数は、2023年7月に実施された第11回までで累計3.6万人いることが発表されています。また、DX検定の合格率については、下表のとおり公開されています。認定レベル(必要スコア)第11回の認定率累計の認定率DXプロフェッショナル レベル(800以上)4.1%3.3%DXエキスパート レベル(700~799)9.4%9.0%DXスタンダード レベル(600~699)14.5%17.3%未達72.0%70.4%未達の割合が7割を超えており、決して簡単な検定ではないことが伺えます。なお、DX推進に役立つ試験は、DX検定以外にも様々あります。以下の記事では、DXに関するおすすめの資格をまとめていますので、併せてご覧ください。DX資格14選!DX推進に役立つおすすめ資格を紹介参考:ネクストエデュケーションシンク「シリーズ累計受検者数3.6万人、受検者所属企業600社超。 「第12回DX検定(TM)」申込10/3より開始 企業のDX意識の浸透・社員リスキリング等、企業研修での活用が拡大」 日本イノベーション融合学会「第11回 『DX検定™』(日本イノベーション融合学会*ITBT®検定)検定結果と検定概要について」2023年8月DX検定の学習方法DX検定では、DXに関連する様々な用語についての知識が問われます。これらの用語は日進月歩で進化し続けるデジタル技術に関連しており、DXプロジェクトにおけるコミュニケーションを行う上で欠かせないものです。DX検定の資格を取得するため、そして企業のDXを推進するためにも、DX関連の用語を学び、理解しておきましょう。勉強を始める際は、まず学習シラバスを参照し、出題される用語をチェックすることが大切です。知らない用語があれば、一つひとつの用語の意味や使用例を調べましょう。また、DXの用語・知識を習得する方法として、DX教育サービスの活用も効果的です。例えば、実践的な学びによってDX推進人材の育成・発掘を行うサービスとして『SIGNATE Cloud』が挙げられます。『SIGNATE Cloud』は、全社的なDXリテラシーの底上げから、DX推進人材の発掘・育成、AI実装に至るまで、貴社のデジタル変革を包括的に支援するDX教育サービスです。プログラミングの基礎から業務に直結する実践的なスキルの習得まで、幅広い視点から貴社のDX推進をサポートします。「どのようにしてDXを推進すれば良いか分からない」「実務につながるDX教育を実施したい」というお悩みがあれば、ぜひ『SIGNATE Cloud』の導入を検討してみてはいかがでしょうか。まとめDX検定とは、DX推進に携わる人に向けた検定制度のことです。DX検定の受験によって、IT分野の最新技術・トレンドを幅広く体系的に学べます。また、最新技術の活用例を把握し、企業のDX推進に生かすことも可能です。現在DX推進に携わる仕事を担当している人や、今後DX推進に携わりたいという人は、DX検定の取得に向けて学習に取り組んでみてはいかがでしょうか。