現在、インターネットやスマートフォンの普及に伴い、大量のデータで溢れかえっています。データサイエンスとは、そのようなデータを加工・分析しその結果を利活用し社会に役立てていく学問です。データサイエンスは企業だけではなく、さまざまな業界において注目されています。データサイエンスをひとつの学問として、多くの大学や大学院、専門学校、スクールなどで取り扱うようになりました。また、多くの企業や組織、団体において、データサイエンスをビジネスや運営に生かしていきたいと考えています。そこで本記事では、データサイエンスの勉強方法を5つ厳選し、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。データサイエンスの学習内容や独学での勉強についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。データサイエンスとは?データサイエンスとは、数学や統計学、機械学習、プログラミングなどの理論を活用して、莫大なデータの分析や解析を行い、有益な洞察を導き出す学問分野のことです。最近、世界中でビッグデータ(※)が注目されています。例えば、Googleはユーザーが日常的に行う検索を通じて蓄積したデータを活用し、ユーザーの興味や需要に合わせたパーソナライズされた検索結果や広告を提供し、これによりユーザー体験を向上させています。多くの企業や組織が日々蓄積するビッグデータは、適切な分析と解析を行うことで初めて、戦略的な意思決定や業務改善に役立てられます。データサイエンスは、これらのデータから具体的なアクションプランを導き出し、効率化や新たなビジネスチャンスの創出を可能にします。このような背景から、ビッグデータを効果的に加工・分析し、得られた結果を社会的に役立てるために、データサイエンスを勉強する人が増えています。ビッグデータは、DX推進と密接に関連しています。理解を深めたい場合は、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。ビッグデータとは?DX推進に活用するメリット・デメリット※事業に役立つ知見を導出するためのデータのこと(総務省「平成24年版 情報通信白書」)データサイエンスで勉強する内容データサイエンスは、ビッグデータを扱い分析をする学問です。下表に、データサイエンスで勉強する代表的な内容をまとめました。勉強分野補足分析・統計に関する知識データサイエンスでは、まず分析の目的を明確に定義する必要があります。そのうえで、適切な分析内容と方法を選ぶ「分析設計スキル」が求められます。具体的には、情報処理や数学、統計学の専門知識のほか、得られた分析結果をビジネスの現場で活用するためのスキル習得が重要です。データを最適な形式で集計・可視化するスキル大量のデータを効果的に分析するには、収集したデータを適切に集計することが必要です。データを時間の経過に沿って並べたり、数値の大きさや範囲に基づいてグループに分けたりします。そのためには、最適な集計・可視化の手法を選び取るスキルの習得が重要です。機械学習や統計モデリングのスキル統計モデルを構築するためには、データから隠れたパターンを発見することが重要です。しかし、人間の力で膨大なデータを分析するには限界があります。そのため、データサイエンスでは、機械学習やデータマイニングといった技術を使って分析を行います。これらの手法を用いることで、予想外のパターンをビッグデータの中から見つけ出すことが可能です。データサイエンスを勉強する意義データサイエンスの大きな意義に、「データによる意思決定」が挙げられます。昨今、経験や勘に頼らずに客観的なデータや根拠に基づいて意思決定を行う重要性が増してきています。このアプローチは、DXの推進にも欠かせないものであり、データサイエンスは組織全体のデジタル化を効果的に支援するツールとして機能します。また、マーケティング領域を筆頭にあらゆる分野で、客観的で根拠がある施策の策定やビジネス課題の解決を図るために、データを収集・可視化・分析するスキルが求められるようになっている状況です。データサイエンスのスキルは、社内のマネジメントにも活用可能です。各社員のパフォーマンス、売上・経営への貢献度、人員配置の適切性などがわかるデータを倫理的な枠組み内で収集・分析・シミュレーションすれば、会社全体・部署単位・プロジェクト単位でのオペレーション・人員配置の最適化が図れるでしょう。また、ルーチン業務の自動化についても、分析結果から具体的な自動化プロセスを導き出し、効率化を実現することが可能です。以上のような、データに基づく施策の実施で得られた効果を検証する際も、データサイエンスのスキルが求められます。数字的な根拠をもとに施策・戦略の効果を評価できるため、効率的にPDCAを回せるようになるほか、外部に対して客観的な説得力をもって効果の有無・程度を説明できるようになるでしょう。これにより、DX推進の中でのデータドリブンアプローチが強化され、組織の革新と持続的な成長を支える重要な要素となります。データサイエンスについて勉強することは、データサイエンティストになったり、データ分析を仕事にしたりするためというイメージを持っている人もいます。しかし、データサイエンスを勉強する意義はそれだけにとどまらず、全てのビジネスパーソンにメリットがあるといっても過言ではありません。実際に、データサイエンスの勉強を通じて、データサイエンティスト以外のキャリアを拓いている方もいらっしゃいます。例えば、Oさん(仮名・ 男性・30代前半)は、弊社SIGNATEのDX人材育成サービス「SIGNATE Boot Camp」の「0からはじめるコンペで学ぶAI・データサイエンス実践講座」の受講を通じて、未経験からネットワークエンジニアへの転職を成功させています。O:採用の理由を伺ったところ、データサイエンスやPythonのプログラミングスキルを活かしてデータの活用や、業務の自動化、AIの活用などで幅広く活躍できそうなポテンシャルがあるという点を高く評価いただいたようです。面接では「データサイエンスのスキルが求められる領域も含めて仕事を任せていきたい」とおっしゃってくださり、本講座の経験が生きたなと思います。Oさんへのインタビュー全文は、以下の記事からご覧ください。SIGNATE Boot Camp 修了生インタビュー vol.2 ~未経験からデータサイエンスを学び、スキルを武器にしてエンジニアに~データサイエンスの勉強方法5選ここまで読んで、学問としてのデータサイエンスの概要を理解できたはずです。実際にデータサイエンスを勉強する方法としては、主に以下の5つが挙げられます。オンライン講座大学・大学院勉強会に参加実務独学それぞれの方法にあるメリット・デメリットを中心に順番に解説しますので、自分に合ったスタイルで勉強しましょう。オンライン講座最近では、さまざまな企業・団体がデータサイエンスのオンライン講座を開いています。例えば、総務省統計局では、統計リテラシー向上の取組として、データサイエンス力の高い人材育成のため、以下3つのデータサイエンス・オンライン講座を開講しています。社会人のためのデータサイエンス入門(統計学の基礎やデータの見方等、データ分析の基本的な知識を学べる講座)社会人のためのデータサイエンス演習(ビジネスでの分析事例を中心に実践的なデータ分析の手法を学べる講座)誰でも使える統計オープンデータ(統計オープンデータを活用したデータ分析の手法を学べる講座)また、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、デジタル知識・スキルが身につくデジタル人材育成プラットフォーム「マナビDX」を運営しています。こちらは、デジタルに関するリテラシーから実践レベルまで幅広い講座を掲載しています。オンライン講座はネット環境さえあれば、いつでもどこでも勉強できるので、働きながらでも取り組みやすいです。初心者から上級者までさまざまなレベルに合わせたコースが提供されており、自分のペースで学習を進められるのもメリットです。ただし、ひとことにデータサイエンスのオンライン講座といっても、「データサイエンスに特化したもの」から「Web系の基本スキルから学べるもの」までカリキュラムはさまざまです。「勉強して何をしたいか」や「何を学びたいのか」などについて、事前にできるだけ具体的に決めておくことが大切です。参考:総務省「データサイエンス・オンライン講座」 マナビDX大学・大学院大学・大学院では、データサイエンスに必要な統計学やプログラミング言語、機械学習をはじめ数多くの分野を一通り勉強できます。技術的なスキルだけでなく、データサイエンスを社会で用いる方法や、与える影響などの知識も身につけられます。専門知識の豊富な教員のもとで勉強に打ち込める環境が整っていることも、大学・大学院ならではの魅力でしょう。学会やコンペティションなどに参加する機会を得られることもあり、自分の視野を広げるチャンスに恵まれています。実際に、社会人として一度職に就いた後でデータサイエンスを勉強する重要性に気づき、データサイエンスを専門にした大学院に入学するケースも見られます。また、大学・大学院でデータサイエンスを専攻している学生は非常に少ないのが現状です。今から大学・大学院でデータサイエンスについて勉強し、専門性を高めておけば、将来的にあらゆる分野で重宝される人材に成長できる可能性が高まります。一方で、大学・大学院の場合、オンライン講座とは違っていつでもどこでも勉強を進められるわけではありません。基本的に、勉強するためには決められた日時に実際にキャンパスに出向く必要があるため、働きながらだと取り組みにくい点には要注意です。勉強会に参加昨今、さまざまな企業・団体、個人がデータサイエンスに関する勉強会を開催しています。実際に、インターネット検索をすると、データサイエンスについて学べる勉強会の開催情報が数多くヒットします。その中から自分と相性の良さそうな勉強会を探し、参加してみるのも一つの選択肢です。オンライン講座や大学・大学院とは違って、講座1回単位で申込受付している場合もあり、気軽に参加しやすいでしょう。ただし、勉強会に参加する際は、運営主体のチェックを怠らないようにしましょう。データサイエンスに関する専門性が乏しい企業・団体、個人が勉強会を運営している可能性もあるためです。専門性が乏しい勉強会に参加すると、データサイエンスに関する勉強が非効率になるだけでなく、間違った知識を身につけてしまい、実務に生かしにくくなります。HPを閲覧したり実際に問い合わせを行ったりして、データサイエンスに関する専門性や実績などをチェックし、信頼性の高い企業・団体、個人が運営している勉強会を選びましょう。実務すでにデータを取り扱う仕事をしている人の場合、実務を通じてデータサイエンスを勉強する方法もあります。実務で勉強する場合、オンライン講座や勉強会への申し込み、大学・大学院への入学など特別な手間や費用をかけずに済む点がメリットです。また、理論や教科書にはない現実のデータを扱うことによりデータの前処理、欠損値の扱い、異常値の検出といった実際のデータ問題を解決するスキルが身につく点もメリットです。ただし、当然ながら普段の業務でデータを取り扱っていない場合、実務でデータサイエンスを学ぶことはできません。また、勉強の中で生じる不明点・疑問点を解消するためには、自分の周囲にデータサイエンスの知識・スキルが長けている先輩・上司の存在も必要不可欠となります。独学学習サイトや書籍、 YouTube動画などを活用すれば、独学でデータサイエンスを勉強することも可能です。独学の場合、最も大きなメリットはコストを抑えられることです。最近では無料の教材もあり、仮に有料の教材を使うにしても、オンライン講座や勉強会などに参加するよりは勉強代を節約できます。また、独学によって、ビジネスでデータを取り扱う際に欠かせない「自発的に問題を見つけて解決する能力」を養うことも可能です。一方で、独学には、モチベーションの維持が難しいというデメリットもあります。一人で勉強していると、難解なトピックに当たったときや進歩が見えにくいときなどに、モチベーションが下がりやすくなります。データサイエンスを独学で勉強するのは難しい?データサイエンスの重要性が高まっていることを受けて、最近では独学で勉強を始める人が増えています。確かに、独学にはコストを抑えられて、気軽に始めやすいという魅力的なメリットがあります。ただし、独学でデータサイエンスを勉強するのは非常に難しいです。データサイエンスで必要な知識は幅広く高度なスキルも求められるため、独学では挫折しやすいのです。そのうえ、指導者からフィードバックを受けられないため、不明点や疑問点が生じても、その解消に時間がかかり学習スピードが落ちてしまいます。実際に、弊社SIGNATEのDX人材育成サービス「SIGNATE Boot Camp」の「0からはじめるコンペで学ぶAI・データサイエンス実践講座」の受講者である織田さんも、独学の課題として「不明点の解決に時間がかかってしまう」を挙げています。-独学でデータサイエンスを学ぶ際に感じた課題について教えてください。織田:課題は大きく2つあって、1つ目は「学習、成長スピード」だと思います。身の回りにデータサイエンスに関して相談できる人が少ないということもあり、学習の中で不明点が出てきたときに解決するのに時間がかかってしまうのが課題としてありましたね。2つ目は「キャリア面で不明確な点があったこと」ですね。そもそも世の中にデータサイエンスに関わるポジション・ロールとしてどのようなものがあるのか、具体的にイメージできておらず、どのようなスキルを身につければ良いのかも不明確でした。キャリア面で必要なスキルを定義する難しさと、スキル習得に向けた学習の中で成長スピードが上がっていかないという課題がありましたね。織田さんへのインタビュー全文は、以下の記事からご覧ください。SIGNATE Boot Camp 修了生インタビュー vol.1 ~楽しみながら学んだデータサイエンスで業務効率化を実現。データからの新しい価値創出にも挑戦~スムーズに勉強を進めれば、スピーディーに実務に生かしたり市場価値を上げたりすることにもつながります。それを実現するためにも、データサイエンスの勉強は独学ではなく、専門性の高い指導者からサポートを受けつつ進めましょう。データサイエンスを専門家と勉強できるSIGNATE Boot Camp弊社、株式会社SIGNATEでは、DX人材育成サービス「SIGNATE Boot Camp」の第1号講座「0からはじめるコンペで学ぶAI・データサイエンス実践講座」を提供しています。さまざまなデータ分析コンペを通じてAI・データサイエンスの実践力を身につける6か月間の集中講座です。10万人規模のAI・DX人材基盤から選ばれ、コンペ入賞経験もあるトップレベルのデータイエンティストが担当コーチとして講座開始から修了まで伴走します。また、厚生労働大臣が指定する教育訓練給付制度の講座認定も受けており、講座の提供を通じてDX人材を目指す個人のキャリア形成をサポートします。担当制なので、あなたの学習のペースに合わせて学習の疑問点・つまずきを解消します。データサイエンスに関する実務のご相談や、ポートフォリオ作成のご相談などにも対応可能です。独学が苦手な方やモチベーションの維持に不安のある方でも最後まで挫折せずに学習を継続できます。講座を修了した方には世界標準規格のオープンバッジが発行され、習得したスキルを証明できます。デジタル証明なので、オンラインやSNS上での公開や、メールの署名への掲載など、幅広く利用可能です。ご興味のある方は、以下のリンクから詳細は以下のリンクをご覧いただき、まずは個別相談会からご参加ください。SIGNATE Boot Campまとめデータサイエンスは、今後とも需要が高まっていく分野の一つです。データ活用はあらゆる分野や業界で必要不可欠であるため、今から勉強を始めることが大切です。データサイエンスの勉強を効果的に行いたい方は、独学ではなく専門性の高い指導者からサポートを受けることが望ましいです。その中でも、いつでもどこでもデータサイエンスの勉強を進められるオンライン講座の活用をおすすめします。